ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダのセレクションによる展覧会が資生堂ギャラリーで開催。6組が見せる「Surface and Custom」とは

ベルリンを拠点とするアーティスト・デュオ、ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダのセレクションによる展覧会「Surface and Custom」が資生堂ギャラリーで開催される。参加作家はサーラ・ドゥラート、ピエール・ルギヨン、クララ・リーデン、カリッサ・ロドリゲス、竹岡雄二。会期は10月18日~12月22日。

ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ《Moulting》(2019)より、資生堂包装紙(矢部季、1924)

 ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダは2002年にコラボレーションを開始し、美術史やアートのシステム、そこに関わる人々に言及する作品を発表してきた。現在はベルリンを拠点に、ヨーロッパ各地やアメリカで展覧会を行っている。日本では「第10回恵比寿映像祭」(2018)や「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」(国立国際美術館、2018)などの展覧会に参加した。

 このふたりのセレクションによる展覧会「Surface and Custom」が、資生堂ギャラリーで開催される。会期は10月18日~12月22日。

ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ《Moulting》(2019)より、『花椿』(1957)表紙(ソニア・ドローネー《Rythme Coloré》(1956)) 

 ふたりは今年4月の個展で、資生堂のビジュアル・イメージを再構成したスライドショー《Moulting》を発表。同作は、日本が近代化する過程において資生堂が西欧のモダン・アートを積極的に取り入れていたことに注目し、広告・印刷物からアートやファッション、ディスプレイシステム、都市の生活様式などのテーマに沿ってイメージを抜き出したビジュアル・ポエトリーだ。本展でふたりは、これらのテーマをもとに作家のセレクトを行った。

左から、クララ・リーデン Untitled (jug chandelier) 2018、
ピエール・ルギヨン Mérida 2018 Photo by Aurélien Mole, courtesy Fondation d’entreprise Ricard, Paris

 サーラ・ドゥラートは「展覧会」という状況そのものに関心を持ち、観客をありのままに存在する作品に直面させることを試みる。ピエール・ルギヨンは、アートのシステムの再考を問いかける「The Museum of Mistakes(間違い美術館)」を自ら設立。本展では、日本の絣(かすり)職人と共同制作したペインティングを展示する。インフラと社会構造をひとつの道具として都市に介入するクララ・リーデンは東京で滞在制作を行い、新作を発表する。

カリッサ・ロドリゲス The Maid 2018 Courtesy of the artist 

 また、自身をほかの分野からアートにやって来た「不法侵入者」と定義するカリッサ・ロドリゲスは、昨年発表した映像作品《The Maid》を展示。そして、台座そのものを作品とする「台座彫刻」で空間に働きかける竹岡雄二は、1986年のドイツでの初個展で発表したドローイングを展示する。

 本展では、西欧文化を取り込みながら独自性を築いた資生堂のビジュアル・イメージの変遷と、歴史や既成概念を問い直すことで自身の作品に昇華させるアーティストたちの実践を見ることができるだろう。

編集部

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