東京・銀座に位置し、日本を代表するギャラリーのひとつでもある資生堂ギャラリーが2019年に100周年の節目を迎える。
資生堂ギャラリーは、資生堂創業者・福原有信の三男で、のちの資生堂初代社長となった福原信三が「陳列場」として開いたことからその歴史が始まった。関東大震災や第二次世界大戦などでたびたびその活動は中断を余儀なくされるが、「新しい美の発見と創造」を活動理念に一貫して非営利の活動を続けてきた。
これまでに開催された展覧会は3100回以上にのぼり、日本の美術史に大きな足跡を残してきた同ギャラリー。100周年を飾る記念プロジェクト「それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio」では、2つの特別展を開催する。
「それを超えて美に参与する」というタイトルは福原の言葉。既成の概念やジャンルを超えて、美の創造に取り組むという福原の意志を述べたものだ。
本展では、福原の本質的な側面を現代において継承し、異なるかたちで社会創造的な活動と芸術の新しいあり様を提示する主体として2組のアーティストを招聘。イギリスの建築家集団で、2015年に現代美術のアワード「ターナー賞」を受賞したASSEMBLE(アッセンブル)と、17年に資生堂ギャラリーで個展「1/2 Century later.」を開催したことも記憶に新しいTHE EUGENE Studio(ザ・ユージーン・スタジオ)が参加する。
2組は本プロジェクトを通じて、「それを超えて美に参与する」という福原の創造的思考の断片を今日に伝えるスペース/プラットフォームを創造する。第1弾の展示ではTHE EUGENE Studioが展示の設定を、ASSEMBLEが空間全体を担当。また第2弾では、ASSEMBLEの「ターナー賞」受賞対象となったリバプールのグランビー・フォー・ストリーツのワークショップを実施することで、「場所を超えた美の創造」に挑戦するという。