東京都写真美術館で、展覧会「イメージの洞窟 意識の源を探る」が開催。本展は古代の洞窟壁画に始まり現在にいたるまで、様々な表現の源泉となっている「洞窟」をモチーフとして、イメージや認識のつくられ方を再考しようとするもの。会期は10月1日~11月24日。
本展では展示室をひとつの「洞窟」としてとらえ、現代写真における技法や展示手法の多様性を紹介。北野謙、志賀理江子、フィオナ・タン、オサム・ジェームス・中川、ゲルハルト・リヒター、ジョン・ハーシェル(特別展示)による作品約33点を展示する。
なかでもリヒターは、日本初公開となる作品のほか、テート・モダンの来館者を撮影した写真をベースに制作されたシリーズ「Museum Visit」を展示。近作をまとめて見る貴重な機会となる。
そのほかにも北野は、フォトグラムの技法で乳児の輪郭を印画紙に焼き付ける「未来の他者」プロジェクトの新作を発表。フィオナ・タンは、ファウンド・フッテージを用いた映像作品を展示し、洞窟や水のモチーフで、流れる時間と記憶の関係を指摘なサイエンス・フィクションとして探る。
また、特別展示されるジョン・ハーシェルのドローイングは、カメラ・ルシーダを用いて洞窟から海辺の風景を見渡す構図で描かれたもの。写真技術の発明が発表される20年以上前に制作された同作からは、見たままのイメージを正確に自分のものにしたいという願望を垣間見ることができる。
加えて本展では、鑑賞とプリント体験を行う「色彩ワークショップ」や、音楽とともに展覧会を鑑賞する「音と見る洞窟」など様々なイベントも開催。こちらもあわせてチェックしたい。