戸谷成雄の半世紀におよぶ彫刻観の一端を見る。シュウゴアーツでの個展「視線体」で新作を発表

彫刻家・⼾⾕成雄の個展「視線体」が、東京・六本木のシュウゴアーツで開催される。会期は9⽉21⽇〜10⽉19⽇。

戸谷成雄 視線体(部分) 2019

 彫刻家・⼾⾕成雄は1947年長野県生まれ。75年に愛知県立芸術大学大学院彫刻専攻を修了した。これまで広島市現代美術館やヴァンジ彫刻庭園美術館、愛知県立美術館などで個展を開催してきたほか、ヴェネチアビエンナーレや光州ビエンナーレといった国際展にも参加するなど、国内外で活躍している。

 学生時代、60~80年代にかけての現代彫刻の変遷を体感した戸谷は、彫刻を概念の世界から引き戻し、原形的な感覚の歴史に⼿がかりを求めた。「何もないところに、たしかに在ると感ずる意識こそ⼈間にものをつくらせたのではないか」「⾒えなさとしての彫刻を再び⾒える世界として存在させるにはどうすればよいか」。これらの問いを起点に、近代彫刻を超えて、太古からの根源的な⼈間の存在認識に関する問題への広がりを持つ作品を制作してきた。

戸谷成雄 竹藪Ⅱ 1975

 ⾒えない線を⾒える線に、ネガの空間をポジの空間へ、そして「⾒るー⾒られる」の主客を交換することで、「無数の視線の集積こそが彫刻を⽣み出す」という彫刻理論を提示する戸谷。様々な作品の実践をもって「彫刻とは何か」という問いを追求し続けている。

 そんな⼾⾕の個展「視線体」が、東京・六本木のシュウゴアーツで開催される。本展で戸谷は、ギャラリー空間全体を使い「視線体」を体現するインスタレーションを発表する予定。戸谷の半世紀におよぶ彫刻観の一端を見ることができる。

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