これまで文化財の保存や修復、そして修復技術の継承に関わる事業への助成を行ってきた住友財団。同財団の創立30周年を記念し、修復の成果を一挙に公開する展覧会「文化財よ、永遠に」が開催される。
本展は国宝5件、重要文化財22件を含む仏像、絵画、文書、歴史資料など多彩な修復作品を展示するもの。なかでも注目したいのは、自然災害による損傷を乗り越えた文化財の数々。阪神淡路や能登半島、そして東日本、熊本の地震によって被災した文化財の状況と修復の様子も紹介される。
東京国立博物館では被災したものを含め、各地で大切に守り伝えられてきた仏像を一挙に展示。また、泉屋博古館分館では「文化財修復の最前線」にフォーカスし、池大雅《比叡山真景図》や狩野一信《五百羅漢図》などの絵画や工芸品約30点と、その修復過程を紹介する。
いっぽう泉屋博古館では、京都に残された平安時代から江戸時代までの名品の数々を見ることができる。展示作品のひとつである藤原定家《明月記》は、1988年から12年をかけて紙背文書の修理が完了。そして今回、全体の修理完成とともに国宝に指定された。
そして九州国立博物館では、九州・沖縄に伝わる考古、絵画や彫刻など約30点を紹介。中国・清時代に描かれた涅槃図や15~16世紀の朝鮮半島でつくられた世界図など、対外交流の盛んな同地ならではの作品の数々が並ぶ。加えて、2016年の熊本地震で大きな被害を受けた千光寺の《千手観音立像》も、本展で修復後初めて公開予定となっている。