視覚の有無を超えてダンスの多様な見方を共有しよう。音声ガイドを起点にたどりついた「音で観るダンス」の最終公演

音声ガイドの仕組みを用いてダンスを観ることを試みる「音で観るダンス」プロジェクト。同プロジェクトは、視覚の有無を超えて、ダンスと言葉のより良い関係を探るべく、2年にわたってワークショップや研究会を重ねてきた。今回、同プロジェクトの3年間の活動を総括する最終公演が、8月31日にKAAT 神奈川芸術劇場で行われる。

上演前に行われるタッチツアーの様子 撮影=西野正将

 視覚に障害を持つ人々が芸術を楽しむために、音によって視覚情報を補助する「音声ガイド」。近年では、携帯電話のアプリで音声ガイドを聴きながらの映画鑑賞が可能になるなど、その利用方法の幅が広がっている。

 「音で観るダンス」は、音声ガイドの仕組みを用いて、視覚に障害を持つ人とともにダンスを観ることを試みるプロジェクト。同プロジェクトは、視覚の有無を超えてダンスと言葉のより良い関係を探るべく、2年にわたってワークショップや研究会を重ねてきた。過去につくられた音声ガイドには、チェルフィッチュ主宰の岡田利規や能楽師の安田登らが参加している。

 今回、同プロジェクトの最終公演「音で観るダンスのワークインプログレス final」が、KAAT 神奈川芸術劇場で行われる。本公演では、これまでにつくられてきた様々な音声ガイドを選び、音声を聴きながらダンスを鑑賞するのに加えて、それらの過程を経てつくられた「音で観るダンス」が同プロジェクトの3年間の活動の総括として上演される。

 これは誰もが身体表現を楽しめるようになる状況をつくるだけでなく、視覚障害の有無を超えて、ダンスの新しい見方を生むことにもつながるかもしれない。

捩子ぴじんによる約10分間のダンスを、音声ガイドのチャンネルを選んで聴きながら観る
撮影=西野正将

編集部

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