東京・広尾の山種美術館が、広尾開館10周年を記念して展覧会「大観・春草・玉堂・龍子 ―日本画のパイオニア―」を開催。展覧会タイトルの通り、本展には、近代日本画を代表する4名の画家、横山大観(1868〜1958)、菱田春草(1874〜1911)、川合玉堂(1873〜1957)、川端龍子(1885〜1966)の作品が一堂に集う。
日本美術院において様々な技法や表現を試み、革新的な日本画を生み出した大観と春草。官展を中心に活躍しながら日本画における風景表現に新境地を拓いた玉堂。そして再興日本美術院を脱退し、自らが主宰する青龍社を創立し、大画面の迫力ある作品を発表した龍子。
4名はいずれも伝統を踏まえながら新しい時代に即した絵画を模索しつづけ、日本画の発展を導いたが、いっぽうで、それぞれ主たる活動の場は異なるものだった。本展は、この4名に焦点を当て、それぞれの画業をたどりながら近代日本画の歩みを振り返るもの。
加えて本展では、晩年の大観、玉堂、龍子の3名による「松竹梅展」(画廊・兼素洞、1955〜57)にも注目する。松竹梅展は、山種美術館の創立者であり、3名と交流を重ねながら作品を蒐集していた山﨑種二の希望により企画された展覧会だ。
本展では、同館所蔵の松竹梅展の出展作品を全点展示。南画とやまと絵を融合させた大観の《作右衛門の家》(1916)、光や空気の描出に挑んだ「朦朧体」の代表作である春草《釣帰》(1901)、田園の情景を生き生きと表した玉堂の《早乙女》(1945)、第1回青龍展に出品された記念碑的な龍子の《鳴門》(1929)など、山種コレクションから各画家の珠玉の作品を見ることができる。近代日本画のパイオニアとして画壇を牽引した4名の競演を楽しみたい。