2018.4.13

生誕150年の大回顧展で横山大観の画業を振り返る。100年ぶりに発見の作品も公開

近代日本画の巨匠、横山大観の代表作が一堂に集まる展覧会「生誕150年 横山大観展」が4月13日より東京国立近代美術館でスタート。日本一長い画巻として知られる《生々流転》をはじめ、100年ぶりの発見となった作品も展示される。

展示風景より《生々流転》(1923)の部分
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 明治、大正、昭和にわたり第一線で日本画を先導した横山大観(1868〜1958)。その生誕150年を記念した大回顧展が、4月13日より東京国立近代美術館で始まった。

 大観は1889年に東京美術学校(現東京藝術大学)に一期生として入学。岡倉天心らに学び、96年には同校助教授となるが、98年には天心らとともに辞職し、日本美術院の創設に参加。新たな日本画の姿を探求した。

 本展は、西洋化の影響を受けつつあった当時において、日本美術の伝統技法を継承しながら、従来の型にはまらない、自在な画風を見せた大観の世界を回顧するものだ。

展示風景

 展示は明治、大正、昭和という時系列の3章で構成。

 「明治」では、《屈原》(1898)に見られる、人物の感情や気分を全面に表現した作品をはじめ、それまでの東洋画で重要視されてきた筆線を排し、色をぼかしたり重ねたりして大気や光の繊細な情緒を表現しようとした「朦朧体」への取り組みなどを見ることができる。

 続く「大正」では、44歳から58歳までの作品を展観。ここで注目したいのは、なんといっても全長40メートルの画巻《生々流転》(1923)だろう。一滴の水が川となり、海へとつながり、竜巻となって天へと上る。この壮大な時間の流れを一堂にじっくりと楽しめる貴重な機会だ。

展示風景。手前は《群青富士》(1917)

 最終章の「昭和」では、皇室のためにつくられた《朝陽霊峯》(1927)をはじめ、その作品の売り上げを陸海軍に献上した連作「海に因む十題」「山に因む十題」など、大観と国家との色濃いつながりを表す作品が並ぶ。

左から「山に因む十題」のうち《龍躍る》(1940)、《乾坤輝く》(1940)、「海に因む十題」のうち《波騒ぐ》(1940)、《濱海》(1940)

 なお、本展では105年前に刊行された『大観画集』にモノクロで掲載されて以降、行方が分からなかった縦140×横113センチメートルに及ぶ個人蔵の大作《白衣観音》(1908)が、100年ぶりに発見され展示されるほか、ハレー彗星を水墨画で描いた同じく個人蔵の《彗星》(1912頃)も初公開されているので、こちらも忘れずにチェックしたい。

左から《彗星》(1912頃)、《白衣観音》(1908)