ミリアム・カーンが個展「美しすぎることへの不安」を開催。新作7点に初期作品を加えた約20点の油彩で構成

スイスを代表する女性アーティスト、ミリアム・カーンの個展「美しすぎることへの不安」が、東京・六本木のワコウ・ワークス・オブ・アートで開催される。会期は7月27日〜9月14日。

ミリアム・カーン アイリーン・グレイの家(ル・コルビュジエ設計とされていた)  2007 + 17.3.2019 © Miriam Cahn, courtesy WAKO WORKS OF ART

 スイスを代表する女性アーティストとして、ヨーロッパを中心に活動を行うミリアム・カーン。1970年代に興ったフェミニズムやパフォーマンス・アート、反核運動などの社会的な動向に影響を受けたカーンは、ドローイング作品の制作からアーティスト活動をスタート。79年から80年の冬にかけて、屋外の建物に直接描いたドローイング作品《my woman-ness is my public part(私の女性性は、パブリックな部分だ)》で注目を集めた。

 94年から多く手がけるようになった油彩作品では、勢いのある筆致と鮮やかな色彩で、人、動植物、建築物が繰り返し描かれる。80年代の大型ドローイングから、カーンの作品には一貫して身体性という特徴が備わり、近年は絵筆を使わず手で直接描く作品も制作。その魅力的な色彩とは裏腹に、暴力や社会問題といったテーマ性の強い作品にも取り組んできた。

 そのほか大きな布を床に広げて黒鉛で描いたドローイング作品や、色彩豊かな水彩で描いた「atombombe(原子爆弾)」シリーズ、写真、彫刻など様々な表現を用いて制作を行っている。

 2017年には「ドクメンタ14」に参加したカーン。開催地のアテネとカッセルの両会場で複合的なルームインスタレーションを発表し、現代の不安定な世界情勢を見つめる作品群で高い評価を得た。19年は大規模な個展の開催が続き、ベルン美術館(スイス)、ハウス・デア・クンスト(ドイツ)、ワルシャワ近代美術館(ポーランド)の3館をまわる巡回展を筆頭に、世界各地の美術館で展覧会が予定されている。

 今回、カーンの個展「angst vor zu schön:美しすぎることへの不安」が、東京・六本木のワコウ・ワークス・オブ・アートで開催される。本展は、新作7点に、90年代に描かれた初期作品を加えた約20点の油彩で構成。15年にイタリアが発動した海洋難民救済作戦「マーレ・ノルストム」をタイトルにした作品や、近年手がけている母と子を主題にした作品も含まれる。

 カーンは、本展と同時期に開催される「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(8月1日〜10月14日)にも参加するので、そちらもあわせてチェックしたい。

編集部

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