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2019.1.3

瀬戸内からあいち、岡山まで。2019年注目の芸術祭をピックアップ

2019年は大型の芸術祭が開催される年となる。そこで、ここでは19年開催の芸術祭のなかからとくに注目したいものを5つピックアップ。会期順に紹介する。

あいちトリエンナーレ2019に参加するアイシェ・エルクメンの《On Water》(2017) Photo by Roman Mensing/Münster
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瀬戸内の資源とアーティストがコラボレーション。「瀬戸内国際芸術祭2019」

総合ディレクターの北川フラム、総合プロデューサーの福武總一郎(写真中央)と参加アーティストたち

 「海の復権」をテーマに、2010年より3年に1度開催されてきた「瀬戸内国際芸術祭」が4回目の開催を迎える。前回の2016年には、年間を通して約104万人が訪れるなど、日本最大規模となる本芸術祭。会期も春、夏、秋の3つにわかれており、開催期間は全体で100日におよぶ。

 そんな瀬戸内国際芸術祭2019では、アーティスト・塩田千春と建築家・田根剛がコラボレーションし、新作を生み出す。また香川県・女木島では、「小さなお店」プロジェクトを展開。このプロジェクトには、レアンドロ・エルリッヒをはじめ、宮永愛子、KOURYOUらが参加することが明らかになっている。このほか、うちわ×西堀隆史、盆栽×平尾成志×瀬ト内工芸ズといった、瀬戸内の資源とアーティストのコラボレーションにも注目したい。

会期
春(ふれあう春):2019年4月26日〜5月26日
夏(あつまる夏):2019年7月19日〜8月25日
秋(ひろがる秋):2019年9月28日〜11月4日
会場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島(春)、本島(秋)、高見島(秋)、粟島(秋)、伊吹島(秋)、高松港周辺、宇野港周辺

芸術監督は津田大介。「あいちトリエンナーレ2019」

ジェームズ・ブライドル ドローン・シャドー002 2012

 ジャーナリスト・津田大介が芸術監督を務めることで話題を集める「あいちトリエンナーレ」は4回目の開催。「情の時代 Taming Y / Our Passion」をテーマにする今回は、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市街、 豊田市美術館および豊田市街が会場となる。

 現時点では、ジェームズ・ブライドル、ミリアム・カーン、CIR(調査報道センター)、パスカレハンドロ(アレハンドロ・ホドロフスキー& パスカル・モンタンドン=ホドロフスキー)、加藤翼、キュンチョメ、小泉明郎、高嶺格、高山明 (Port B) 、田中功起、藤井光ら32名の参加が明らかになっており、最終的な参加作家数は80組程度が予定されている。

 加えて今回は、美術と音楽の垣根を越えた祝祭感のある音楽プログラム「あいちトリエンナーレ 2019 MUSIC & ARTS FESTIVAL」や、子供から大人まで来場者同士が相互に学びあい創造性を楽しむための 「アート・プレイグラウンド」なども実施予定だ。

会期:2019年8月1日~10月14日
会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市街(四間道・円頓寺地区など)、豊田市(豊田市美術館および市街)

テーマは「いのちのてざわり」。「Reborn-Art Festival 2019」

Reborn-Art Festival 2017でのアイコン的作品となった名和晃平の《White Deer(Oshika)》(2017)

 2017年に宮城県石巻市・牡鹿半島を中心に51日間にわたって初開催された「アート」「音楽」「食」の総合祭「Reborn-Art Festival(リボーンアート・フェスティバル)」が、19年夏に再び開催。

 自然の脅威や資本主義が勢いを増していく現在の世相に対抗する動きや循環、そこで感じることができる「いのちのてざわり」をテーマにする今回は、会場を7つのエリアに分け、それぞれを異なるキュレーターが担当。島袋道浩、名和晃平、豊嶋秀樹、有馬かおる、和多利恵津子・浩一、中沢新一、小林武史の7組がそれぞれ参加作家を選定する。

会期:2019年8月3日〜9月29日
会場:牡鹿半島、 網地島、 石巻市街地、 松島湾(宮城県石巻市、 塩竈市、 東松島市、 松島町、 女川町)

参加作家は2名のみ。「アート・プロジェクトKOBE 2019:TRANS-」

やなぎみわ 野外劇『日輪の翼』 2017 (原作=中上健次、企画/演出/美術=やなぎみわ) ©2018 やなぎみわ ※参考作品

 2019年に初開催を迎えるのが、神戸を舞台とした「アート・プロジェクトKOBE 2019:TRANS-」だ。同芸術祭では、海外と国内からそれぞれ1名ずつ作家を招聘。兵庫港地区、新開地地区、新長田地区という3会場の特性にちなみ、「TRANS-」を冠したテーマに基づく作品を発表する。

 現時点で決定している参加作家は、グレゴール・シュナイダーとやなぎみわの2名となっている。

会期:2019年9月14日~11月10日
会場:兵庫港地区、新開地地区、新長田地区

ピエール・ユイグが目指すものとは? 「岡山芸術交流 2019」

岡山芸術交流 2019のロゴ

 2016年に初開催された岡山芸術交流が2回目となる「岡山芸術交流 2019」を開催する。アーティスティック・ディレクターを務めるのは、フランス人アーティストとして世界各国で活動するピエール・ユイグ。

 前回同様、岡山市中心部の岡山城・後楽園エリアの徒歩移動可能なコンパクトな地域を舞台に、世界各国からアーティストが参加。現時点では、グラス・ビード、パメラ・ローゼンクランツ、ティノ・セーガル、エティエンヌ・シャンボー、ミカ・タジマらの参加が公表されており、「超個体(スーパーオーガニズム)」という構想のもと、作品同士が実際に影響しあう関係をつくることを目指す。

会期:2019年9月27日~11月24日
会場:旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、林原美術館、岡山県立美術館、岡山城、岡山県庁前広場など