ミスタードーナツのプレミアム(景品)や、 「POTATO」のタスキをかけ天を指さす、カルビー「ポテトチップス」のマスコットキャラクター。原田治の名を知らなくとも、原田によって生み出されたキャラクターに見覚えがある方も多いのではないだろうか。
1970年代後半から90年代にかけ、女子中高生を中心に爆発的な人気を博した「OSAMU GOODS(オサムグッズ)」の生みの親、原田治の没後初となる展覧会が世田谷文学館で開催される。
原田は1946年東京生まれ、多摩美術大学デザイン科卒業。70年、当時創刊された雑誌『an・an』でイラストレーターとしてデビューし、76年に「マザーグース」を題材にしたオリジナルのキャラクターグッズ、「OSAMU GOODS(オサムグッズ)」の制作をスタートし、女子中高生のあいだで大きな人気を博した。その人気を決定的なものにしたのが、84年、ミスタードーナツのプレミアム(景品)に提供し、以降シリーズ化されたイラストレーションだ。
50〜60年代アメリカのコミックやテレビアニメ、ポップアートなどから影響を受けたイラストレーションのなかでも、シンプルな描線と爽やかな色彩で描かれたキャラクターたちは、その後の日本の「かわいい」文化に多大な影響を与えた。
全国巡回展のスタートとなる本展では、イラストレーターとして活動するきっかけとなった、70年代『an・an』の仕事をはじめとして、広告、出版、各種グッズなど多岐にわたる作品を紹介。また、すでに画才を発揮していた小学生時代のスケッチブックや、デビューのきっかけとなったニューヨーク滞在時の作品を含む初期資料、エッセイ集『ぼくの美術帖』(パルコ出版、1982)関連資料も交えて展示することで、原田の全貌にせまる。
会期中、ミュージアムショップでは新作グッズの先行販売をはじめ昔懐かしい復刻商品まで多彩なグッズが販売される。
「終始一貫してぼくが考えた『可愛い』の表現方法は、明るく、屈託が無く、健康的な表情であること。そこに5%ほどの淋しさや切なさを隠し味のように加味するというものでした」と、著書『OSAMU GOODS STYLE』(ピエ・ブックス、2005)で語った原田。そんな「かわいい」の真髄を本展で見つけてほしい。