丹羽良徳は1982年生まれ、現在はウィーンに在住。これまで、「不可能性」と「交換」を主軸としたアクションを公共空間で行い、社会や歴史へ介入することを試みてきた。主な展覧会に「瀬戸内国際芸術祭2016」、「MAMスクリーン005:丹羽良徳映像集」(森美術館、2016)、「愛すべき世界」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2015)などがある。
そんな丹羽の個展「誰も要求していない計画に全会一致で合意する」が、東京・渋谷のGALLERY X BY PARCOで開催中だ。
これまで《イスタンブールで手持ちのお金がなくなるまで、トルコリラとユーロの外貨両替を繰り返す》(2011)や、《ルーマニアで社会主義者を胴上げする》(2010)といった映像作品を手がけてきた丹羽。本展でも、自らが一貫して扱う「労働」や「経済」、そして「集団決定」に対する疑問の投げかけを、日常のメディアを使って表現する。
また近年丹羽は、映像作品だけでなく言語そのものが機能する場に注目し、ネオンや新聞広告といったメディアでも制作を行っている。本展でも「想像した未来には到達しないと想像している」や「会社の予算でゴミを購入する」などの言葉を用い、会場全体に大きな新作インスタレーションを展開。
足元をすくようでありながら、ポップなスローガンとして機能する強さと時代性を秘めた丹羽による言葉があふれる本展。なお会場では、丹羽による新作のZINE「ウィーンで赤い者を追う」も手に入れることができる。