2019.6.20

Reborn-Art Festival 2019にも参加。ワタリウム美術館のロイス・ワインバーガー展「見える自然/見えない自然」をチェック

生態や環境についての根本的な疑問を投げかける作品を手がけてきたオーストリア出身の作家、ロイス・ワインバーガー。その個展「見える自然/見えない自然」が、東京・神宮前のワタリウム美術館で開催される。会期は7月13日〜10月20日。

ロイス・ワインバーガー 無題 1996
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 ロイス・ワインバーガーは1947年、オーストリア・チロル地方の山間にある村の農家に生まれた。両親の仕事を手伝いながら鉄骨工の職に就いたが、77年からアーティストとしての活動を開始。ウィーンの自庭で育てた荒地植物を各所に植えるガーデン・プロジェクトを皮切りに、ドクメンタX(1997)、第53回ヴェネチア・ビエンナーレ(2009)などの国際展に参加するほか、個展も多数開催している。

 そんなワインバーガーの個展「見える自然/見えない自然」が、ワタリウム美術館で開催される。

ロイス・ワインバーガー 植物を越えるものは植物と一体である 1997

 同館では、99年に開催の「エンプティ・ガーデン」展でヨーゼフ・ボイスやカールステン・ニコライとともに、ワインバーガーを初めて日本に紹介。それから20年の歳月を経て、本展では現在の作家のテーマである「見えない自然」を発信する。

 本展では時系列を追って、カッセル中央駅(ドイツ)の線路に中央・東ヨーロッパの荒地植物の種を撒き、庭に変えた《植物を越えるものは植物と一体である》(1997)や、植物を用いた民間信仰の呪術や儀式を夫婦で追体験するパフォーマンス《ホーム・ブードゥー》(2004)などの作品を紹介。一貫して植物を素材に、彫刻やドローイング、映像、文章などを用いたその幅広い表現世界を追う。

ロイス・ワインバーガー 堀とマッチ箱の助けを借りて蟻の卵を手に入れる 1978

 これまで、都市において人間がつくり上げた決まりごとを解放し、生態や環境についての疑問を投げかける作品を手がけてきたワインバーガー。その作品群はアクティビストのような鍛えられた思想に裏付けられながらも、どこか自由な広がりやユーモアを見せる。

 なおワインバーガーは今年8月から開催の「Reborn-Art Festival 2019」にも参加。手付かずの雄大な自然と穏やかな雰囲気から「東北のハワイ」とも呼ばれる網地島で、屋外インスタレーションや壁画、映像作品を発表する。こちらもあわせてチェックしたい。

ロイス・ワインバーガー グリーンマン 2004