2019.6.5

オランダのファッション・フォトを牽引するカップル。シェルテンス&アベネスが個展を開催

静物をモチーフにコンセプチュアルな作品を手がけてきたアムステルダムのアーティスト・ユニット「シェルテンス&アベネス」の個展「ZEEN」が、東京・恵比寿のPOSTで開催される。会期は6月8日~7月21日。

© Scheltens&Abbenes
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 「シェルテンス&アベネス」は、プライベートでも夫婦関係にあるモーリス・シェルテンスとリースベス・アベネスによって、2001年に結成されたアーティストユニット。静物をモチーフに、精緻な構図とミニマルな美意識を持った作品を手がけてきた。

 活動初期の代表作である「Hidden Object」というシリーズでは、ゴミや段ボール箱など、社会的には無価値なものをターンテーブルの上に置き、高速回転している様子を撮影。彫刻作品のようなイメージをつくり出すことで、写真に無用なものをオブジェに変身させる役割を持たせた。

© Scheltens&Abbenes
© Scheltens&Abbenes

 またファッションブランドのハンガーを規則性を持ったオブジェとして組み立て、撮影した作品など、3次元空間の現象を記録しながらも最終的には写真という2次元空間に結実させてきた。

 12年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)よりインフィニティアワードを受賞し、ヨーロッパや北米を中心に個展を開催。このほか、エルメスやメゾン・マルジェラ、バレンシアガといった世界中のブランドやメゾンとのコミッションワークや、雑誌のエディトリアルまでも手がけるふたりは国際的な評価も高く、オランダのファッション・フォトを牽引するカップルとして知られてきた。

© Scheltens&Abbenes

 現在ふたりは、19年3月よりアムステルダムのFoam写真美術館で個展を開催しており、同展にあわせてCase Publishingが作品集『ZEEN』を刊行。今回その出版を記念する展覧会が、東京・恵比寿のPOSTで開催される。

 一貫した美意識を備えるふたりの作品群は、別シリーズ同士だとしても互いに呼応しあう関係を持つ。今回刊行された作品集はそういった点に着目し、各作品が最初に発表された出版物を複製して収録している。

 各作品のイメージがどのように影響を及ぼしあうのか、ふたりの文脈を解明することを試みる同著。本展では、同著のスペシャルエディションを展示販売する。展覧会初日にはふたりを交えてのオープニングパーティも予定されているので足を運びたい。