気象学と音が融合するインスタレーションとは? 赤松音呂が個展「Meteon」で新作を発表

電子デバイスを組み合わせたインスタレーションや映像、彫刻など、様々なメディアを用いた作品を手がける赤松音呂。そんな赤松の新作個展「Meteon」が、東京・市ヶ谷のミヅマアートギャラリーで開催される。会期は5月29日〜6月29日。

赤松音呂 Meteon(部分) 2019 ガラス、アクリル樹脂、石ほか © AKAMATSU Nelo / Courtesy Mizuma Art Gallery

 赤松音呂は東京都生まれのアーティスト。2003年に武蔵野美術大学彫刻学科を卒業後、05年に東京藝術大学大学院先端芸術表現科を修了した。

 15年には、オーストリアの国際的なメディアアートコンペティションであるアルス・エレクトロニカで、グランプリにあたるゴールデン・ニカ賞を受賞した赤松。その後も東京とスロベニアでの個展のほか、スペイン、オーストリア、台湾、カナダなど世界各地のグループ展や芸術祭に参加するなど、海外を中心に精力的に活動を行っている。

 そんな赤松の個展「Meteon」が、東京・市ヶ谷のミヅマアートギャラリーで開催される。本展で赤松が発表する新作は、気化熱の原理を利用した《Meteon》と地磁気の視覚化を試みた《Chijikigumo》の2点。

 《Meteon》は、水が蒸発する際に気化熱が奪われて生じる温度差を原動力に、音を発するシステムによって展開される。「Meteon」とは、Meteorology(気象学)と On(音)を組み合わせた赤松の造語であり、それを題した同作は、水の蒸発を気象現象のひとつとして象徴的に扱うことで、ガラス器の内部が架空の惑星に存在する気象環境に見立てられる。

 かたや《Chijikigumo》は、雲のように浮遊する折り重なる輪が、地磁気によってなめらかに旋回するインスタレーションだ。最新の研究では、帰巣のために体内に地磁気を感じるセンサーを持つ渡り鳥や蜂のように、人間にも磁気を第六感として感じる潜在能力がある可能性が出てきたという。

 長年に渡って地磁気に興味を持ち続け、たびたび作品にも取り入れてきた赤松。同作は、地磁気を巡って試行錯誤を繰り返してきた赤松が、地磁気を雲状の動作を通して視覚化した新作である。

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