絵画を写真にするアーティスト。田口和奈の個展「エウリュディケーの眼」が開催中

ウィーンを拠点に活動を行っているアーティスト・田口和奈の個展「エウリュディケーの眼」が、東京・南青山のvoid+で開催中。本展は、田口がギリシャ神話にインスパイアされて製作中の本『エウリュディケー』から派生した作品および近作で構成されている。会期は6月1日まで。

田口和奈 エウリュディケーの眼 2019 Courtesy of Kazuna Taguchi

 田口和奈は1979年東京都生まれのアーティスト。東京藝術大学美術学部絵画専攻油画領域を卒業後、同大学院美術研究科で博士号を取得した。2010年には五島記念文化賞美術新人賞を受賞。この展覧会は、研修帰国記念として開催された。

 これまで東京や広島で個展を開催してきたほか、オーストラリアやアメリカ、台北でのグループ展にも数多く参加。現在はウィーンを拠点に、国内外問わず精力的な活動を行っている。

 「絵画を写真にする」という制作方法で、視覚のイニシアティブを問う作品を展開する田口。雑誌などから見つけた画像やファウンドフォト、自身が撮影した写真のパーツなどを組み合わせてつくり出した架空の人物や場所を描き、その絵画を被写体に写真作品を制作してきた。

 近年は、印画紙に直接加筆したり、薬品を用いてモノクロ印画紙からカラー発色をさせたりと、被写体となった画像と結びついた素材との関係を追求しながらさらなる写真表現の方法を模索している。

 そんな田口の個展「エウリュディケーの眼」が、東京・南青山のvoid+で開催中。タイトルにある「エウリュディケー」は、現在田口が製作している本のタイトルであり、ギリシャ神話に出てくるオルフェウスの妻の名前にも由来する。

 毒蛇に噛まれた妻のエウリュディケーの死に激しく悲嘆したオルフェウスが、冥界に行き妻を奪還しようと決意するというこの有名な神話は、ルーベンスやロダンなど数多くの芸術家たちが作品の題材として取り上げてきた。本展は、田口が現在製作している本『エウリュディケー』から派生した作品および近作で構成される。

編集部

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