荒川修作は1936年愛知県生まれ。ネオ・ダダイズム・オルガナイザーの運動に関わった後、61年に渡米。62年、以降公私にわたるパートナーとなる詩人のマドリン・ギンズと出会い、「意味のメカニズム」プロジェクトに共同で取り組み始める。
「意味のメカニズム」シリーズはドクメンタ4(1968)、第35回ヴェネチア・ビエンナーレ(1970)で発表。その後の72年頃からは建築的実験モデルの制作を始め、95年には《養老天命反転地》(岐阜県養老町)、2005年には《三鷹天命反転住宅》(東京都三鷹市)を手がける。そして荒川は10年に、ギンズは14年にそれぞれ逝去した。
そんな荒川の平面作品を紹介する展覧会が、岐阜現代美術館で開催中だ。本展では同館が所蔵する荒川作品のコレクションから、「ウェブスター新20世紀辞典」(1965)、「意味の分裂」(1970-71)、「すべてのものを迂回する思考の肖像」(1972)など約30点を紹介する。
人の身体感覚を揺さぶる、「死なないため」の建築作品で知られる荒川。同じ岐阜県に位置する《養老天命反転地》とともに本展を訪れ、人間の知覚のあり方を問い続けたその思想を体感してみてはいかがだろうか。