竹内公太は1982年生まれのアーティスト。2008年に東京藝術大学美術学部先端芸術表現科を卒業し、現在は福島県を拠点に活動を行っている。
緻密なリサーチをもとに、絵画や彫刻、写真、インスタレーションなど、一定の表現方法にこだわらない多岐にわたる表現品を展開している竹内。その作品群は、いずれも記憶や記録に転換する際のメディアのあり方や受け手の意識を浮き彫りにするものだ。
これまで、東京電力のふくいちライブカメラのモニターに突如現れた指差し作業員の代理人として、災害を見る側の意識と匿名表現者の自意識を浮き彫りにした「公然の秘密」(SNOW Contemporary、東京、2012)や、遺物に刻まれた記憶をたどることを試みた「影を食う光」(2013、森美術館、福島)、福島県いわき市の図書館で出会った書籍に掲載されていた石碑巡りをトレースすることでメディアの性質と人々の記憶のあり様を示した「写真は石碑を石にする、それでも人は」展(SNOW Contemporary、東京、2017)などを行ってきた。
2017年には、アジア・カルチュラル・カウンシル・日米芸術交流プログラムにて、旧原子力開発施設の視察と日米戦争関連の調査のため、約6ヶ月間アメリカに滞在。そんな竹内の帰国後初となる個展「盲目の爆弾」が、東京・西麻布のSNOW Contemporaryで開催される。
本展では、第二次世界大戦時の44年から翌年にかけて日本軍によって投下された風船爆弾の歴史を題材とした映像および写真作品を発表。映像作品《盲目の爆弾、コウモリの方法》はアメリカ軍の記録文書などを参考に、カリフォルニア、ワシントン、アイダホ、ユタ、ミシガン、モンタナ、ワイオミング、そして福島、北茨城、千葉でのフィールドワークをもとに制作されたもの。国内近代史にまつわる記憶や遺産をたどる作品群を発表し続けてきた竹内が、日米をまたいでの調査をベースに制作した新作に注目が集まる。