「荒地」の時代に、アーティストたちは何を見たのか? ANOMALYのグループ展に柳幸典、高嶺格、ナイル・ケティングらが参加

昨年11月、東京・天王洲にオープンした新ギャラリー「ANOMALY」で、所属作家によるグループ展「Waste Land」が開催される。本展には青木野枝、岩崎貴宏、榎忠、ナイル・ケティング、篠原有司男、高嶺格、立石大河亞、柳幸典、横山裕一が参加し、平成の「空気」の一端を可視化することを試みる。会期は3月9日〜4月6日。

横山裕一 タンカーと高層マンション 1992 ©Yuichi Yokoyama / Courtesy of the artist and ANOMALY, Tokyo

 2018年11月、山本現代、URANO、ハシモトアートオフィスが合併しオープンした新ギャラリー「ANOMALY」。こけら落としのChim↑Pom「グランドオープン」展に続き、同ギャラリーでグループ展「Waste Land」が開催される。本展では、年代の違う作家たちがどのように平成という複雑な時代の「空気」を感じ取り、それぞれの作品に反映させてきたかを探る。

 柳幸典は、代表作《バンザイコーナー》と「アントファーム」シリーズを展示。《バンザイコーナー》は1991年初作で現在も制作されており、一斉にバンザイをするウルトラマンが鏡の虚像によって日の丸を形成する様子は、ポップ・カルチャーと天皇制が溶けあう様相を示している。

 いっぽう岩崎貴宏は、大型の新作を発表。送電線や大地の活断層を思わせる風景は、黒色のファブリックから抜き引いた糸と繊細な手作業によって制作され、エネルギー供給が脈動する現代の日本の姿を表す。  

 そして榎忠は、神戸の街を都市劇場に見立て、銃を持った集団が行進するパフォーマンスで使用された作品を展示。平成初期に行われたゲリラパフォーマンスは、その後のテロへの恐怖など社会の変化によって、いまでは伝説的とも言えるイベントとなった。

 そのほかにも、青木野枝、ナイル・ケティング、篠原有司男、高嶺格、立石大河亞、横山裕一が参加する本展。展覧会タイトルの「Waste Land」は、第一次世界大戦後の西洋の混乱と荒廃を、前衛的な語り口で描いたT・S・エリオットの詩『荒地』にちなんで付けられたもの。作家たちがひとつの時代に向けた、様々な眼差しと作品のあり方を見ることができるだろう。

編集部

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