女性や“有色人種”、見落とされてきた作家にもフォーカス。MoMAリニューアルオープン後の展覧会をチェック

6月15日〜10月21日の改修工事を経て、展示スペースの拡張を行うニューヨーク近代美術館(MoMA)。リニューアル・オープン後は、これまで見落とされてきたアーティストの作品展示も増やす予定だという。

ロサンゼルス(ローレル・キャニオン)のスタジオで《Black Girl’s Window》を持つベティ・サアー Courtesy of the artist and Roberts Projects, Los Angeles, California Photo by Bob Nakamura

 3700平米を超える展示スペースを新設するという、大規模な改修を発表したニューヨーク近代美術館(MoMA)。The New York Timesによると、リニューアルオープン後は増設したスペースを使って、女性作家、ラテンアメリカ人、アジア人、アフリカ系アメリカ人のほか、幻の前衛写真家とも称される写真家の大西茂、画家のエルヴェ・テレマックなど、これまで正統な評価を受けてこなかったアーティストたちの作品にもフォーカスしていく予定だという。

 リニューアルオープン後の10月21日からは、上記の意向を反映した3つの展覧会が同時開催される。

ベティ・サアー Black Girl’s Window 1969 The Museum of Modern Art, New York. Gift of Candace King Weir through The Modern Women’s Fund, and Committee on Painting and Sculpture Funds Digital Image © 2018 The Museum of Modern Art, New York Photo by Rob Gerhardt

 まずは、1926年生まれの作家、ベティ・サアーの個展「Betye Saar: The Legends of Black Girl’s Window」(10月21日〜2020年1月[終了日未定])。本展は、1960〜70年代に生じた「黒人芸術運動」に賛同し、人種とフェミニズムに対する固定観念と神話を接続させたサアーの自伝的アッサンブラージュ《Black Girl’s Window》を起点に構成される。

Pope.L The Great White Way, 22 Miles, 9 Years, 1 Street 2000-09 © Pope. L Courtesy of the artists and Mitchell – Innes & Nash, New York.

 そして、パフォーマンス、絵画、インスタレーション、彫刻など様々なメディアを用いて人種、消費、社会階級、男らしさなどをテーマとした作品を制作してきた1955年生まれのウィリアム・ポープ・L。「Pope.L」の名前でも活動する作家の個展「member: Pope.L, 1978–2001」(10月21日〜2020年1月1日)では、初期作から2001年までの作品を紹介する。

リジア・クラーク Contra relevo no. 1(Counter Relief no. 1) 1958 The Museum of Modern Art, New York. Promised gift of Patricia Phelps de Cisneros through the Latin American and Caribbean Fund Courtesy of “The World of Lygia Clark” Cultural Association

 そして3つ目の展覧会は、「Sur moderno: Journeys of Abstraction―The Patricia Phelps de Cisneros Gift」(10月21日〜2020年3月[終了日未定])。このグループ展では、ベネズエラとニューヨークを拠点に、ラテンアメリカ人の作品をコレクションする組織「パトリシア・フェルプス・デ・シスネロス」からMoMAへ寄贈された作品を紹介する。

 

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