3700平米を超える展示スペースを新設するという、大規模な改修を発表したニューヨーク近代美術館(MoMA)。The New York Timesによると、リニューアルオープン後は増設したスペースを使って、女性作家、ラテンアメリカ人、アジア人、アフリカ系アメリカ人のほか、幻の前衛写真家とも称される写真家の大西茂、画家のエルヴェ・テレマックなど、これまで正統な評価を受けてこなかったアーティストたちの作品にもフォーカスしていく予定だという。
リニューアルオープン後の10月21日からは、上記の意向を反映した3つの展覧会が同時開催される。
まずは、1926年生まれの作家、ベティ・サアーの個展「Betye Saar: The Legends of Black Girl’s Window」(10月21日〜2020年1月[終了日未定])。本展は、1960〜70年代に生じた「黒人芸術運動」に賛同し、人種とフェミニズムに対する固定観念と神話を接続させたサアーの自伝的アッサンブラージュ《Black Girl’s Window》を起点に構成される。
そして、パフォーマンス、絵画、インスタレーション、彫刻など様々なメディアを用いて人種、消費、社会階級、男らしさなどをテーマとした作品を制作してきた1955年生まれのウィリアム・ポープ・L。「Pope.L」の名前でも活動する作家の個展「member: Pope.L, 1978–2001」(10月21日〜2020年1月1日)では、初期作から2001年までの作品を紹介する。
そして3つ目の展覧会は、「Sur moderno: Journeys of Abstraction―The Patricia Phelps de Cisneros Gift」(10月21日〜2020年3月[終了日未定])。このグループ展では、ベネズエラとニューヨークを拠点に、ラテンアメリカ人の作品をコレクションする組織「パトリシア・フェルプス・デ・シスネロス」からMoMAへ寄贈された作品を紹介する。