両世界大戦間期の過酷な時代のなかで、モダンデザインの定着を夢見た作家とその周辺を紹介する「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展が、群馬県の高崎市美術館で開催される。本展は、ブルーノ・タウトの没後80年、アントニン・レーモンド生誕130年、井上房一郎生誕120年、そしてイサム・ノグチ没後30年を記念したものであり、おもにこの4名とその周辺に焦点を当てる内容となる。
1928年に日本初の国立デザイン指導機関として仙台に工芸指導所が設立されると、33年に当時来日中だったドイツの建築家 ブルーノ・タウトが顧問として招かれ、剣持勇らの指導に当たるようになった。同年、チェコの建築家 アントニン・レーモンドと、高崎市の事業家・井上房一郎が、井上の手がける軽井沢の家具工芸店「ミラテス」で出会い、その翌年から、井上はタウトを高崎市に迎えてタウトデザインの工芸品の販売を始めた。
「モダンデザイン」に夢を託して、より良い暮らしを求めた人々の交流が世界的に充実していた同時代。工芸デザインは、装飾から機能へ移りゆく時代のなかで、装飾が美であったように、機能もまた新たな美とされていた。そして世界的な建築家やデザイナーが、日本建築や意匠に機能性を見出した眼差しと、椅子や電気照明に代表されるモダンデザインを風土に馴染ませようとする日本の工芸関係者の眼差しは、ともに等しく同時代同歩調のものであったという。
本展では、モダンデザインの展望が、どのように現代に受け継がれていったのかという問いが提示される。