飯塚小玕齋(いいづか・しょうかんさい)は1919年、竹工芸界の重鎮である飯塚琅玕斎の元に生まれる。東京美術学校(現・東京藝術大学)油画科を卒業するも、長男が早くに他界したことから家業である竹工芸の道に進むことを決意。父・琅玕斎の厳しい指導を受けた。
初期は「点・線・面」の理論に基づき、竹と金属などの異素材を組み合わせた斬新な作品を発表していたという小玕齋。しかしその後は竹を用いることに正面から向き合い、伝統を踏まえながら素材を活かした精緻な作品を発表し、今日の竹工芸の基盤を形成した。
本展「生誕100年 飯塚小玕齋展―絵画から竹工芸の道へ―」では、小玕齋による中学時代のスケッチから東京美術学校時代の卒業制作、そして竹工芸に絵画的な表現を取り入れていた時期の作品を、資料とともに展示。「用の美」へと至る晩年までの仕事を約30点の竹工芸作品を中心に紹介し、真摯に素材と向き合い続けた小玕齋の歩みをたどる。