アンダーグラウンド映画の伝説、ケネス・アンガーが放つ映像的記憶とは? 短編集から抜粋した写真作品を発表

21世紀の映画監督やミュージシャンに大きな影響を与えたアメリカのインディー映画作家、ケネス・アンガー。その展覧会「ケネス・アンガー アイコニック・メモリ」展が、東京・恵比寿のNadiff A/P/A/R/T 2階のスクールデレック芸術社会学研究所で開催される。会期は2019年2月1日〜3月3日。

ケネス・アンガー Lucifer Rising - Marianne Faithfull as Lilith 1980

 ケネス・アンガーは1927年生まれ。ハリウッドに生まれ育ち、マックス・ラインハルト監督の『真夏の夜の夢』(1936)をはじめいくつかの映画に子役として出演。10歳から映画制作をはじめ、弱冠17歳にしてゲイ・シネマの古典とされる『花火』(1947)を完成させる。

 アンガーはその後オートバイへのフェティッシュな欲望をポップかつ暴力的に描く代表作『スコピオ・ライジング』(1964)、ミック・ジャガーの曲でルシファーを呼ぶ『我が悪魔の兄弟の呪文』(1969)など計9作を、自選作品集『マジック・ランタン・サイクル』として発表。

ケネス・アンガー Inauguration of the Pleasure Dome - Anais Nin 1954

 本展では、その『マジック・ランタン・サイクル』の映像シークエンスをアンガー自らが写真にプリントした作品を展示。夢や魔術、エロス、暴力などで彩られた映像的記憶(アイコニック・メモリ)を再構築し、時代のアイコンとして提示する。

 当時の世紀末思想を色濃く反映し、サイケデリックな映像でドラッグムービーの頂点に立ったアンガー。いまなおアンダーグラウンド映画の神話として、ミック・ジャガー、ジミー・ペイジ、デヴィッド・リンチ、デニス・ホッパーなど21世紀のアーティストに影響を与えるその強烈なイメージを目撃したい。

編集部

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