キュンチョメは、2011年より活動を行っているホンマエリとナブチによるアートユニット。不可思議な行為を媒介とした映像作品やインスタレーションで、社会問題や時代の変化に伴う人間の隠された内面にアクセスすることを試みている。
17年から18年にかけて、キュンチョメは新たに「アメリカのドーナツと沖縄のドーナツを合体させて穴のない完璧なドーナツをつくる」という映像作品を進めてきた。そして現在、その上映プロジェクト《SCREENINGS by KYUN-CHOME : 完璧なドーナツを遠くへ投げる》の第4弾「トマト缶とドーナツを交換する」が、東京・駒込のカトリック本郷教会で開催されている。
沖縄から遠く離れた場所のある特定の人々に向けて、少し特殊な上映会を開催する同プロジェクト。その様子は、各回で「ARCHIVE」「CHRONICLE」の2種類に分けて記録され、随時特設サイトに掲載されていく。
キュンチョメは、同プロジェクトについてこう語る。(一部抜粋)
「〈異なる〉ということを自覚した時、私たちはいくつかの選択を取ることができる。同化するために近づいたり、かわいそうだと思ったり、遠くから眺めることで満足したり。でも、それは嫌だった。マジョリティが自分たちの居場所から〈遠くの問題〉を鑑賞して何かを成した気分になる。そういう事態にうんざりしていた。わかりやすい回答が求められる時代だからこそ、近道を探さずに、もっと遠回りをする道を選ぼうと思う。安全な立ち位置でつくられた作品を、安全な人に向けて、安全が約束された場所で見せる、そんな循環を抜け出すために、この『SCREENINGS: 完璧なドーナツを遠くに投げる』を始めるのだ」。
「トマト缶とドーナツを交換する」というユニークなコミュニケーションのかたちが、来場者にどのような洞察をもたらすだろうか。この機会にぜひ体験してほしい。