2018.12.27

東洋文化の一大宝庫。静嘉堂文庫美術館が2019年の展覧会スケジュールを発表

東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館が2019年の展覧会スケジュールを発表。雛人形、刀剣、書物、水墨画、茶道具など、年間を通して東洋文化を知ることのできるラインアップになっている。

上:重要文化財 古備前高綱太刀 12~13世紀

下:朱塗鞘打刀拵(古備前高綱太刀付属) 16世紀€
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 三菱第2代社長の岩﨑彌之助(1851〜1908)と、その息子であり第4代社長の小彌太(1879〜1945)よるコレクションを保管・展示する東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館。国宝7件、重要文化財84件を含むおよそ20万冊の和漢の古典籍と、6500件の東洋古美術を収蔵するこの美術館の2019年展覧会スケジュールが発表された。

五世大木平藏「木彫彩色御所人形」のうち《宝船曳き》 1939  

 1月にスタートするのは、小彌太が夫人のために京都の人形司、五世大木平藏にあつらえさせた雛人形などが集まる「〜桐村喜世美氏所蔵品受贈記念〜 岩﨑家のお雛さまと御所人形」(1月29日〜3月24日)だ。2018年、人形愛好家の桐村喜世美からこれら雛人形の寄贈を受けたことを記念し開催される本展では、人物すべてがウサギの冠をつけ行列をなす「木彫彩色御所人形」も8年ぶりの公開となる。

 「日本刀の華 備前刀」(4月13日〜6月2日)では、美術館のコレクションを中心に、重要文化財、重要美術品など約30振の名刀が出品される。上質な原料や水運の利に恵まれ、平安時代より優れた刀工を輩出したことから「刀剣王国」と称される備前(岡山県東南部)。本展では、「古備前」と呼ばれる初期の刀工群から、一文字、長船、畠田、吉井、鵜飼など各流派による作風の展覧会をたどる。また、特別出品が決定した同館所蔵の国宝《曜変天目》(「稲葉天目」)建窯 (12〜13世紀)も見どころだ。

和漢三才図会 1711-35刊行 (「書物に見る海外との交流の歴史(仮題)」より)
華手経 巻第四(五月一日経) 奈良時代(「入門 墨の美術 ―古写経・古筆・水墨画―(仮題)」展より)

 そして、江戸時代までの海外との多彩な交流の姿を書物からたどる「書物に見る海外との交流の歴史(仮題)」(6月22日〜8月4日)、コレクションの名品を通し、墨の美の世界をわかりやすく紹介する「入門 墨の美術 ―古写経・古筆・水墨画―(仮題)」(8月31日〜10月14日)、禅僧の袈裟(けさ)や掛物の表具、名物茶入の仕覆(しふく)としても珍重された渡来織物「名物裂(めいぶつぎれ)」やインド製の粋な布「古渡り更紗(さらさ)」にフォーカスする「名物裂と古渡り更紗(仮題)」(11月2日〜12月15日)が予定されている。 

左から《朱泥(大頭)倶輪珠茶銚》、付属の仕覆と《紋尽手古渡更紗》《黄地草花文金更紗》