幻想のコラージュ作家、その足跡を辿る。「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」(東京都庭園美術館)
1950〜56年のわずか7年間という短い活動期間に、数多くのフォトコラージュ作品を生み出した幻想のコラージュ作家・岡上淑子(おかのうえ・としこ)。昨年、高知県立美術館の回顧展で大きな注目を集めた岡上の回顧展が、今度は東京都庭園美術館で幕を開ける。
日本におけるシュルレアリスムを主導した瀧口修造に見出され、マックス・エルンストの影響を受けてその表現の奥行きを広げていった岡上。本展では、海外でもっとも多くの岡上作品を有するヒューストン美術館から、12点のコラージュ作品が出品されるほか、瀧口修造から岡上に送られた書簡や貴重な記録写真などを展示。
また、東京で洋裁を学び、戦後に連合国軍が残した『LIFE』や『VOGUE』を素材とした岡上作品と結びつく50年代ファッションも紹介。ディオールやバレンシアガといったデザイナーが登場し、百花繚乱の様相を呈した時代に制作されたドレスも参考展示される。
会期:2019年1月26日〜4月7日
会場:東京都庭園美術館 本館、新館ギャラリー1
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00〜18:00(2019年3月29日、30日、4月5日、6日 〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:第2・第4水(2月13日、27日、3月13日、27日)
料金:一般 900円 / 大学生 720円 / 中学・高校生 450円 / 65歳以上 450円 / 小学生以下無料
ル・コルビュジエの原点を見る。「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」(国立西洋美術館)
20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエ(本名:シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)。国立西洋美術館で開催される「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」は、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと並び「近代建築の三大巨匠」のひとりに数えられるル・コルビュジエの原点に迫る展覧会だ。
本展では、ル・コルビュジエが故郷のスイスを離れ、芸術の中心地パリで「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した若年期の時代に描いた絵画作品を紹介。パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックらル・コルビュジエが多大な影響を受けた20年代パリの前衛美術の環境を再現する。
加えて、ピュリスムの時代を経たル・コルビュジエが繰り広げた、絵画、建築、都市計画、インテリア・デザインといった広い領域での「近代の精神」の実現を目指す活動も紹介し、1920年代のル・コルビュジエの活動を概観する。
会期:2019年2月19日~5月19日
会場:国立西洋美術館 本館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:03-5777-8600
開館時間:9:30~17:30(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(3月25日、4月29日、5月6日は開館)、5月7日
料金:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料
ジョゼフ・コーネルの軌跡をたどる。「ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」(DIC川村記念美術館)
古書店や骨董品店から蒐集した小物、本の切り抜き、絵画の複製写真を、手製の木箱におさめた「箱」の作品でよく知られ、日本でも高い人気を誇るアーティスト、ジョゼフ・コーネル。
DIC川村記念美術館で開催される展覧会「ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」では、同館が誇るコーネルのコレクションに加えて、国内の美術館および個人所蔵のコーネル作品が一堂に集結。代表作である「箱」のシリーズやコラージュのほか、上映の機会が少なかった映像作品も紹介される。
さらにコーネルがデザインした雑誌などの印刷物や日記、手紙をはじめとする資料も展示。作家の仕事を貫いたコーネルの精神性を見つめ、制作に対する姿勢や人物像にも迫る内容となる。
会期:2019年3月23日〜6月16日
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日
料金:一般 1300円 / 学生・65歳以上 1100円 / 小・中学生・高校生 600円
官能の画家・クリムトの世界。「クリムト展 ウィーンと日本 1900」(東京都美術館)
華やかな装飾性と世紀末的な官能性を併せ持つ作品を手がけた、19世紀末ウィーンを代表する画家、グスタフ・クリムト。本展「クリムト展 ウィーンと日本 1900」は、いまなお絶大な人気を誇るクリムトの、初期作から代表作までが一堂に会する展覧会だ。
初期作品である《17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像》(1891)をはじめ、芸術家のグループ「ウィーン分離派」に加入した直後に描いた作品が、《ヘレーネ・クリムトの肖像》(1898)、クリムトが初めて画材として金を使用した《ユディトⅠ》(1901)、そして日本初公開となる《女の三世代》(1905)など、日本では過去最多となる20点以上の油彩画が揃う。クリムトが残した作品は約200点であり完成作は3分の1とされている。本展はその1割に当たる作品が集う貴重な機会だ。なお、本展は7月に豊田市美術館へと巡廻予定。
会期:2019年4月23日〜7月10日
会場:東京都美術館 企画展示室
住所:東京都台東区上野公園8-36
料金:一般 1600円 / 大学・専門学校生 1300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1000円
ウィーン世紀末文化を包括的に紹介する。「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展(国立新美術館)
2019年は「クリムト展」(東京都美術館)と同時期に、ウィーン世紀末文化を堪能できるまたとない機会だ。本展「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」は、グスタフ・クリムトやエゴン・シーレらが活躍した19世紀末〜20世紀初頭のウィーン黄金期と、世紀末芸術が誕生するまでの過程に焦点を当てたもの。
ウィーン世紀末文化を「近代化(モダニズム)への過程」という視点から紐解き、100万点もの所蔵品を有するウィーン・ミュージアムのコレクションを中心に、個人蔵をあわせた約400点の作品が来日する。なかでもクリムトは、生涯のパートナーであったエミーリエ・フレーゲを描いた《エミーリエ・フレーゲの肖像》(1902)をはじめ、分離派会館の開館に際して制作された《パラス・アテナ》(1898)など47点もの作品が来日。また、クリムトから影響を受けたエゴン・シーレは22点の作品が揃うなど、見どころは多い。本展は8月に国立国際美術館に巡回予定(大阪展は総展示数330点、クリムト18点、シーレ11点)。
会期:2019年4月24日〜8月5日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-5777-8600
休館日:火 (ただし4月30日は開館)
料金:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料