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2019.1.2

若冲からボルタンスキー、塩田千春まで。2019年にチェックしたい10の注目展覧会(後編)

今年2019年も、各美術館で注目の展覧会が目白押し。そのなかから編集部がセレクトした、とくに注目したい10の展覧会を前後編に分けて紹介する。後編では日本美術と現代美術から5つの展覧会を会期順にピックアップ。

塩田千春 どこへ向かって 2017 白毛糸、ワイヤー、ロープ
「どこへ向かって」(ル・ボン・マルシェ、パリ、2017)での展示風景 Photo by Gabriel de la Chapelle
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40年の作家業を一望。「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」(国立新美術館)

イケムラレイコ 頭から生えた木 2015 テラコッタ、釉薬 個人蔵、ドイツ Courtesy Galerie Karsteu Greve AG, St. Moritz

 1980年代前半からドイツを拠点に活動し、絵画や彫刻など多様なメディアを用いて制作を行うイケムラレイコの個展が国立新美術館で開催される。日本では2014年の「イケムラレイコ PIOON」(ヴァンジ彫刻庭園美術館)以来、5年ぶりとなる美術館個展だ。

 絵画、彫刻、ドローイング、水彩、版画、写真など多岐にわたるメディアを扱いながら、何かが生まれる途上に潜む、はっきりとは見えない無限の可能性を表現しようとしてきたイケムラ。スイス・バーゼル美術館との共同企画となる本展では、その表現の軌跡を16のインスタレーション、約210点の作品で紹介する。世界的に高い評価を受ける作家の大規模個展に注目したい。

会期:2019年1月18日〜4月1日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00〜18:00(金・土〜20:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生以下無料

3会場すべて異なる構成で。「クリスチャン・ボルタンスキー展 - Lifetime」(国立国際美術館、国立新美術館、長崎県美術館)

クリスチャン・ボルタンスキー ミステリオス 2017 作家蔵 ©Christian Boltanski, ADAGP, Paris, 2018 Photo by Angelika Markul

 フランス現代美術を代表する作家クリスチャン・ボルタンスキー。その半世紀にわたる作家活動を概観する大規模回顧展が、国立国際美術館、国立新美術館、長崎県美術館の3館で開催される。

 歴史的な記憶や死をテーマに、映像作品やサイトスペシフィックな作品を制作してきたボルタンスキー。日本では16年「アニミタス-さざめく亡霊たち」(東京都庭園美術館)以来の美術館での個展となる本展は、たんなる巡回展とは違い、各会場で構成が異なるという特殊な巡回展だ。「展覧会全体をひとつの作品として見せる」というボルタンスキーのアイデアがどのように具現化されるのか、期待が高まる。

会期:2019年2月9日〜5月6日
会場:国立国際美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
電話番号:06-6447-4680
開館時間:10:00〜17:00(金土〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、2月11日、4月29日、5月6日は開館)、2月12日
料金:一般 900円 / 大学生 500円 / 高校生以下無料
巡回:国立新美術館、長崎県美術館

若冲の新出作品も展示。「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」(東京都美術館)

伊藤若冲 梔子雄鶏図 絹本着色 一幅 85.8×43.1cm  個人蔵

 美術史家・辻惟雄が1970年に刊行した『奇想の系譜』(美術出版社)。その流れを汲む展覧会「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」が、2019年に開催される。

 本展では、伊藤若冲、岩佐又兵衛、狩野山雪、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳、白隠慧鶴、鈴木其一の計8作家を紹介。近年の日本美術ブームを牽引する画家たちが一堂に会する機会となる。見どころは、伊藤若冲の《鶏図押絵貼屏風》(個人蔵)や伝岩佐又兵衛の《妖怪退治図屏風》(個人蔵)など新発見の作品だ。

 また、若冲《梔子(くちなし)雄鶏図》(個人蔵)や長沢芦雪の《猿猴弄柿図(えんこうろうしず)》(個人蔵)など、今回が初公開となる作品も。日本美術ブームをさらに盛り上げる展覧会となりそうだ。

会期:2019年2月9日〜4月7日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話番号:03-5777-8600
開室時間:9:30〜17:30(金・3月23日・30日・4月6日〜20:00) ※入室は閉室の30分前まで
休室日:月(2月11日、4月1日は開室)、2月12日
料金:一般 1600円 / 大学・専門学校生 1300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1000円

国内外から約100点の若冲作品が集結。「東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展」(福島県立美術館)

伊藤若冲 百犬図 個人蔵

 2016年、大きなブームを巻き起こした伊藤若冲が帰ってくる。東日本大震災復興を祈念して福島県立美術館が単独で開催するのが、「東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展」だ。

 本展では、若冲が数多く描いた動植物の作品が国内外から集結。約100点の名品を通じて、若冲芸術の軌跡をたどる。加えて、天明の大火(1788)で焼け野原になった故郷を目の当たりにした晩年の若冲が、復興に寄せた当時の思いもあわせて紹介。東日本大震災からの復興に向けて取り組む福島県民の心の復興に寄与することを目指す。

会期:2019年3月26日〜5月6日
会場:福島県立美術館
住所:福島県福島市森合字西養山1番地
電話番号:024-531-5511
開館時間:9:30〜17:00
休館日:月 ※ただし4月29日、5月6日は開館
料金:一般 1500円 / 大学生 1100円 / 高校生以下無料

キャリア最大規模の個展。「塩田千春展:魂がふるえる」(森美術館)

塩田千春 静けさの中で 2008 焼けたピアノ、焼けた椅子、黒毛糸
「存在様態」パスクアートセンター(スイス、ビール/ビエンヌ)での展示風景 Photo by Sunhi Mang

 2019年の森美術館では、ベルリンを拠点に国際的に活躍する日本人アーティスト・塩田千春の個展に注目したい。

 塩田は96年京都精華大学卒業後、渡独。ブラウンシュバイク美術大学ではマリーナ・アブラモヴィッチのもとで学んだ。記憶、不安、夢、沈黙など、かたちのないものを表現したパフォーマンスや、黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせたインスタレーションなどに代表される作品は、世界的に高い評価を受けている。

 キャリア最大規模の個展となる本展は塩田の20年の活動の全容に迫るもので、大規模なインスタレーション6点を中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを網羅的に紹介。「不在のなかの存在感」を一貫して追究してきた作家の活動を一望できる。

会期:2019年6月20日〜10月27日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間:10:00~22:00(火〜17:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1800円 / 高校・大学生 1200円 / 4歳~中学生 600円 / 65歳以上 1500円