日本と中国の伝統文化、美を堪能。泉屋博古館分館の2019年度スケジュールをチェック

東京・六本木の泉屋博古館 分館は2019年度の展覧会スケジュールを発表。現時点では、明治の皇室文化、浴衣、そして中国古代の金文など、4つの展覧会が予定されている。

白紅梅織地朝顔麻葉模浴衣 20世紀 東京都江戸東京博物館蔵

 中国の古美術を中心に、住友家の蒐集したコレクションを保存展示する京都の泉屋博古館。中国青銅器・鏡鑑に加え、中国・日本の書画、洋画、近代陶磁器、茶道具、文房具など、多彩な収蔵品を特色とする。

 その分館として2002年にオープンした六本木・泉屋博古館分館が2019年に行う、4つの展覧会を紹介する。

中礼服 北白川宮妃房子着用 20世紀(明治末期) 霞会館蔵

 まずは、明治150年を記念する特別展「華ひらく皇室文化―明治宮廷を彩る技と美―」(3月16日~5月10日)が開催される。外交のために洋装を採り入れ、あるいは洋食で外国使臣をもてなすなど、積極的に西洋文化を取り入れた明治皇室。そのいっぽうでは、伝統文化の保護を提唱し「技芸」(美術)の制作活動を奨励した。本展では、宮中晩餐会の食器やドレス、ボンボニエールなど華やかな宮廷文化を通して、明治皇室が守り、継承された日本の技と美を堪能できる。

白紅梅織地朝顔麻葉模浴衣 20世紀前半(昭和時代) 東京都江戸東京博物館蔵

 洋風美から一転、初夏に行われるのは「特別展 ゆかた 浴衣 YUKATA すずしさのデザイン、いまむかし」(5月28日~7月7日)だ。江戸時代には入浴後のくつろぎ着として親しまれるようになり、やがて夏の気軽な外出着として定着したゆかたは、和装離れが進む現代においてもファンを増やしている。本展では、江戸から昭和にいたるゆかたやその紙型に加えて、当時の風俗を描く浮世絵などを中心に紹介。デザイン性や遊びの要素から、素朴さと繊細さを兼ね備えたその魅力に迫る。

池大雅 比叡山真景図(修理後) 1762 練馬区美術館蔵

 そして、住友財団による文化財修復助成30年を記念した「文化財よ、永遠に」(9月10日~10月27日)が、東京国立博物館、九州国立博物館、京都・泉屋博古館、泉屋博古館分館の4館で同時期開催される。文化財は、その時代の修復や保存技術によって守られ現在まで受け継がれてきた。本展では、住友財団文化財修復助成によって近年よみがえった国宝や重要文化財を含む美術工芸品を展示し、その修理の最前線を紹介する。

彔簋(部分) 西周中期 泉屋博古館蔵

 2019年の最後を飾るのは、「金文―中国古代の文字―」(11月9日~12月20日)。いまからおよそ3000年前の中国・殷周時代では様々な造形の青銅器が製作されたが、その表面には「金文」と呼ばれる、現在の漢字の祖形となる文字が鋳込まれていた。本展では、青銅器にあらわされた文字、金文の世界を紹介。復元鋳造レプリカやその鋳型をあわせて展示し、鋳物の技術としての文字=金文を解説する。

 いっぽう、京都・泉屋博古館では、文人に愛された中国の文房具を紹介する「中国文房具と煎茶―清風にふかれて」(3月2日~5月6日)を皮切りに、住友コレクションより「日本の書―和歌と詩のかたち」(5月25日~6月30日)が開催。その後、上述の「文化財よ、永遠に」(9月6日~10月14日)が開催され、江戸時代に京や江戸で活躍した画家の花鳥画を紹介する「花と鳥の四季―住友コレクションの花鳥画(仮)」 (10月26日〜12月8日)へと続く。

 それぞれの企画を通して、日本と中国の伝統文化、現代にも通じる美意識を堪能してはいかがだろう。

編集部

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