高山明は1969年生まれ、2002年に演劇ユニット・Port Bを結成。演劇的発想・思考をベースに、実際の都市を使ったインスタレーションやツアー・パフォーマンスなどを積極的に発表してきた。
今回、東京・南麻布のMISA SHIN GALLERYで展覧会として開催される「マクドナルド放送大学」は、町中のマクドナルドを大学に変えるプロジェクト。17年、ドイツ・フランクフルト市内にある実際のマクドナルド7店舗で初演が実現された。
同プロジェクトは、誰でも参加が可能。「学生」はマクドナルドに入店し、ハンバーガーやコーラとともに「教授」の講義を注文する。「教授」は店内のどこかでピンマイクを通して講義を朗読しており、その声を「学生」の手元にあるポータブルラジオで聞くことができる。「教授」はそれぞれの国で日常を送っていたにも関わらず、なんらかの理由で故郷を離れドイツにやってきたいわゆる「難民」だ。
グローバル資本主義の象徴であり、非健康的なファーストフードというイメージを持つマクドナルド。高山がそこを舞台に選んだのは、ヨーロッパにおいて労働者と客の両方にわたり、もっとも難民や移民を受け入れ、多様な人種や宗教、年齢層の人々が共存する場所だからだという。
今回の「マクドナルド放送大学」は、実店舗ではなくマクドナルドを模したギャラリー空間で行われる。提供される講義は、高山が企画する「新・東京修学旅行 中国残留孤児編」に参加する中国帰国者たちによる新作と、ドイツで制作された25科目のうち10科目。なお、初日には「教授」たちによる講義をライブで聞くことができる。