川村文化芸術振興財団のソーシャリー・エンゲイジド・アート支援助成は、2017年2月に創設された一般財団法人川村文化芸術振興財団が主体となり、コミュニティや社会にコミットし、地域社会や住民とともに制作や活動を実施し、よりよい社会モデルの提示や構築を目指す、日本国内で実施されるソーシャリー・エンゲイジド・アートプロジェクトに対して助成を行うというもの。
初回となる2018年度では、日本国内外から67件(海外34件、国内33件)の応募があり、審査の結果、高山明(PortB)の「新・東京修学旅行プロジェクト」が選ばれた。
「新・東京修学旅行プロジェクト」は、難民(申請者と不認定者を含む) を「ガイド」に、東京を「修学旅行」するプロジェクト。ツアーテーマを「『アジア』to『戦争』」とし、2020年の東京オリンピックへ向かう都市、国家、政治の祝祭的統合とは異なる学びの場をつくるという。
審査員を務めたのは秋元雄史(東京藝術大学大学美術館館長)、工藤安代(NPO法人ART&SOCIETY研究センター代表理事)、窪田研二(インディペンデント・キュレーター)、高嶺格(美術家、秋田公立美術大学准教授)、毛利嘉孝(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授)。審査員の一人である毛利は選評として、「今回の提案は、これまでの試みをさらに発展させ、ますます現代社会の重要なテーマになりつつある『難民』という問題に『修学旅行』という独自のフレームワークからアプローチしたもので、第1回の受賞にふさわしい独創的なプロジェクトとして評価できる」としている。
本プロジェクトに対しては、同財団より上限500万円の支援が行われることになっている。