桑山忠明は1932年愛知県名古屋市生まれ。東京芸術大学日本画科を卒業後、58年に渡米し、今日にわたりニューヨークで活動を行っている。
日本画の顔料や和紙を用いた作品の制作を経て、61年のグリーン画廊(ニューヨーク)での個展以後は、アクリル絵具による単色の幾何学的形体を組み合わせた平面作品に移行。その作風で60年代、70年代のアメリカのアートシーンにおけるミニマリズムを牽引した。
近年では、神奈川県立近代美術館 葉山、国立国際美術館、金沢21世紀美術館、 ルペルティヌム近代美術館などで個展を開催。そのほか「表面、支持体、プロセス:グッゲンハイム・コレクションによる1960年代のモノクローム」(グッゲンハイム美術館、2011)、「戦後日本の前衛美術」(サンフランシスコ近代美術館ほか、1995)、「色彩の形体」(アムステルダム市立美術館、1966~67)でのグループ展にも参加するなど、つねに国際的な注目を集めてきた。
主な作品収蔵先には、グッゲンハイム美術館、ニューヨーク近代美術館、ベルリン国立美術館、東京国立近代美術館、国立国際美術館などが挙げられる。
現在、東京・六本木のタカ・イシイギャラリーで開催されている個展では、新作インスタレーションを発表。同作は、プライウッド(合板)にベークライトと呼ばれる熱硬化樹脂を貼り付け、その表面にメタリックペイントを吹き付けた形状の等しいパネル作品を並べたインスタレーションだ。実験精神を礎に、作品素材の探求を重ねてきた桑山。本展での新たなアプローチに期待したい。