エルンスト・ガンペールは、1965年ドイツ・ミュンヘン生まれのアーティスト。高校を卒業する89年頃、すでに木を用いたものづくりの可能性を探っていたガンペールは、家具職人の道を進むことを決意。家具制作に励むなかで、ウッドターニングに魅せられたガンペールは、独学でその技術や木材の研究を重ねた。
90年には、オーストリアとの国境にも近いアルプス山脈の麓の村・トラウヒガウに最初のアトリエを構え、自身の制作を開始。同地は、豊富な木材に囲まれた場所であることはもちろん、フリークライミングや自転車などのスポーツを好むガンペールにとって絶好の場所だったという。
ガンペールの最初の作品は、紙のように薄いメープルを使った木製の器であり、これが高い評価を受けた。のちにヒルデスハイムのデザインスクールでマイスターを取得し、プロとしてのキャリアをスタートさせると、スタジオ開設の3年後には、ドイツで権威のあるダナー賞を受賞。独自の作風で脚光を浴び、国際的に注目を集めるアーティストとなった。その作品は、ドイツをはじめ、イタリアやオーストラリア、日本など、世界各国の美術館やギャラリーで展示されている。
今回、ARTS&SCIENCEでは2010年、14年に続き、3回目となるガンペールの個展を開催。本展は、ロエベ・クラフト・プライズ2017の大賞受賞後、日本初となる個展であり、ARTS&SCIENCEのホームページでは「Behind the Scenes」と題して、ガンペールについて詳しく触れており、裏側のストーリーを見ることができる。