「ロエベ クラフト プライズ」は、「ロエベ」のクリエイティブ・ディレクター、ジョナサン・アンダーソンが、クラフト(工芸)をベースにした、さまざまな職業に携わる職人たちの作品を世に広めることを目的にスタートさせた新しいアワードだ。
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「工芸技法の斬新な適用と芸術性あふれるオリジナルコンセプトを組み合わせること」を唯一の応募資格とし、18歳以上のプロのアルチザンを公募。世界75ヶ国から約4000点の応募を集めた。その中から選ばれた、大賞受賞者を含むファイナリスト26名の作品を一堂に展示するロエベ「インターナショナル クラフト プライズ」が、11月30日まで六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で開催されている。
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「クラフトはロエベの真髄」だと語るアンダーソン。
本展でもっとも注目すべき大賞受賞作品は、エルンスト・ガンベールによる《Tree of Life 2》(2016)。同作は、嵐によって根元から折れた樹齢300年を超えるオークから切り出したコンテナ。表面には金銀線細工の平行溝「フィリグリー」が全面に施されており、アンダーソンは「独特な声を届ける何かがあり、その作品の物性がこれから何年ものときを経ていくなかで、ますます重要になっていくと思います」としている。
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また、同プライズでは特別賞2作品も選定。日本人アルチザン・神代良明がガラス粉末によって深いブルーを生み出した陶器《Structual Blue》(2015)と、メキシコの工房「アステサニアス・パニクア」が無数の小麦繊維で編み上げた《Tata Curista》(2016)も展示されている。
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なお、本展の審査委員は、ジョナサン・アンダーソンのほか、ハイス・バッカー(ジュエリーアーティスト、ドローグデザイン共同設立者)、ロルフ・フェールバウム(元ヴィトラ最高経営責任者)、深澤直人(デザイナー、日本民藝館館長)、エンリケ・ロエベ(ロエベ財団名誉会長)、ディヤン・スジック(エッセイスト、ロンドン・デザイン・ミュージアムディレクター)、ベネデッタ・タリアブーエ(建築家、プリツカー賞審査委員)、ステファノ・トンチ(『W Magazine』編集長)、パトリシア・ウルキオラ(建築家、工業デザイナー)、アナツ・ザバルベアスコア(審査委員長、『エル・パイス』紙建築・デザイン担当評論家)。
ロエベが世界中から選りすぐったクラフトの数々をお見逃しなく。
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