花魁の履く下駄をモチーフとした、かかとのないヒールレスシューズの作者として知られる舘鼻則孝。レディー・ガガの目に留まり、専属のシューメイカーとなったことで脚光を浴びて以来、多様な活動を展開してきた。
「古典と現代」を制作の軸として、日本のアイデンティティや歴史/文化的価値と、現代の要素をコラボレーションさせる独自の作風は、未来への道筋を表現するものとして高い評価を得ている。
今回、東京・天王洲のKOSAKU KANECHIKAで開催される個展「Beyond the Vanishing Point」では、新シリーズ「Vanishing Point Series」「Cloud Painting Series」「Void Sculpture Series」を中心に、代表作であるヒールレスシューズ、ヘアピンシリーズから新作を発表。「Void Sculpture Series」シリーズからは、日本屈指の刀匠として知られる河内國平とのコラボレーションにより制作された彫刻作品が展示される。
展覧会タイトルとなっている「消失点(Vanishing Point)」は、俯瞰的な視野と、詳細を徹底的に掘り下げる批判的視点の両方を持ち合わせた舘鼻自身の制作を支えるキーワード。 自己と他者、記憶と現実、そして生と死などの様々な主題に対して一対の視点を定め、作品を通じて「消失点」を探求する本展に期待が高まる。