今年9月、東京・九段下の旧山口萬吉邸にて3日間限定で開催した個展が大きな反響を呼んだ舘鼻則孝。その展覧会を経て、新たな個展「―NORITAKA TATEHANA RETHINK―THEORY OF THE ELEMENTS」を東京・銀座のBasement GINZAにて開催する。
舘鼻則孝は1985年東京都生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育った。東京藝術大学では絵画や彫刻を学び、後年は染織を専攻。 遊女に関する文化研究とともに、日本の伝統的な染色技法の友禅染を用いた着物や下駄の制作を行ってきた。2016年には、人形浄瑠璃文楽の初監督作品『TATEHANA BUNRAKU : The Love Suicides on the Bridge』をフランスのカルティエ現代美術財団で上演。ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館など、各地の美術館に作品が永久収蔵されている。
本展では、遊女の煙管から着想を得た《THEORY OF THE ELEMENTS》を中心に、遊女の履く高下駄を現代的に解釈し、レディー・ガガが着用したことでも話題となった「ヒールレスシューズ」シリーズなどの代表作や、「香りの日本文化」にまつわる作品を発表。各地の伝統工芸士との協働によって生み出された作品の数々は、厳選した素材と職人の手仕事によって完成した。
創作活動においては「日本文化の土台とも言うべき工芸が根本にあり、未来に向けてそれらをどう進化させるかが重要」だと考えているという舘鼻。本展は、産地に根付いた伝統工芸の手仕事を再発見するとともに、ひとりの作家が未来に向けて日本の文化を構築する姿を見ることができるだろう。