舘鼻則孝は1985年東京生まれ。東京藝術大学で絵画や彫刻を学んだのちに染織を専攻し、遊女に関する文化研究とともに日本の伝統的な染色技法である友禅染を用いた着物や下駄の制作。代表作「ヒールレスシューズ」は世界中で知られているほか、その作品はニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館などに所蔵されている。
近年はアーティストとして、国内外の展覧会に参加している舘鼻の最新個展「NORITAKA TATEHANA RETHINKー舘鼻則孝と香りの日本文化ー」が東京・九段北にて開催される。
2017年に表参道ヒルズで開催された個展「舘鼻則孝 リ・シンク展」に続き、「日本文化をリシンクする」をテーマとしながら、とくに「香りの日本文化」にフォーカスするという本展。会場となる旧山口萬吉邸(kudan house)は1927年に建てられたもので、木子七郎によるスパニッシュ様式の意匠デザインを特徴としており、東京都の有形文化財に指定されている。
そんな歴史的建造物で開催される本展では、代表作であるヒールレスシューズのほか、「源氏香の図」をモチーフとした香炉などの新作も多数展示。ほかにも会場内の和室にて、京都の香老舗・松栄堂による「聞香体験」の実施や、遊女の煙管から着想を得た舘鼻の作品「THEORY OF THE ELEMENTS」シリーズの最新作が初公開されるなど、「香り」を嗅覚と視覚で楽しむことができる。
新たな「日本文化」を見せる舘鼻の作品。その新作はどのような表現を見せるのか期待したい。