2018.8.23

オノデラユキが挑む写真実験。貴重なゼラチン・シルバー・プリントの小作品も公開

パリを拠点に活動を行っている写真家・オノデラユキの個展「オノデラユキ - 窓という装置をめぐって」が、3331Arts Chiyoda内のギャラリーキドプレスで開催される。写真という枠組みに収まらないユニークなアプローチに注目したい。会期は9月7日〜10月14日。

オノデラユキ “The world is not Small-1826” , NO.24 2012 © Yuki Onodera, All rights reserved.
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 オノデラユキは1962年東京生まれの写真家。93年よりパリにアトリエを構え、世界各地で活動を行っている。これまで、カメラの中にビー玉を入れて撮影したり、既存の事件や伝説から組み上げた独自のストーリーにしたがって地球の裏側での撮影を敢行するなど、あらゆる手法を用いながら「写真とは何か」「写真で何ができるのか」という問いに向き合ってきた。時には、自分自身で2メートル大のゼラチン・シルバー・プリントの上から油絵具で着彩するなど、写真という枠組みに収まらないユニークな実験的アプローチが特徴だ。

 おもな個展に「森の中の千の鏡」(国立アートセンター、フランス、2014)、「オノデラユキ」(ヨーロッパ写真美術館、パリ、2015)、「エキスパートの眼」(国立ニセフォール・ニエプス美術館、フランス、2016)、「動きを求めて: マイブリッジ、ロダン、オノデラユキ」(静岡県立美術館、2017)など。作品はポンピドゥー・センター(パリ)を始め、サンフランシスコ近代美術館、ポール・ゲッティ美術館(アメリカ)、上海美術館、東京都写真美術館など、世界各地の美術館に所蔵されている。

 今回、東京・外神田のギャラリーキドプレスでは、オノデラの個展「オノデラユキ - 窓という装置をめぐって」を開催。本展では、同ギャラリーにて2009年に制作されたフォトグラビュール(*)の版画作品《古着のポートレート》のうち5点を紹介。加えて、これまであまり発表されてこなかったゼラチン・シルバー・プリントの小作品のなかから「窓」にかかわる12点も展示される。

*脚注
オリジナルフィルムの持つ白黒の連続諧調をそのまま表現できる、最も古い銅版画の写真製版。

オノデラユキ "Portrait of Second-hand Clothes” No.4 1994
© Yuki Onodera and KIDO Press, Inc. All rights reserved.