マイケル・ケンナは1953年イギリス生まれの写真家。ロンドン芸術学校で写真を学び、現在はシアトルを拠点に活動を行っている。
伝統的な技法を用いながらも、独特のプリント・テクニックにより光と大気の微妙な変化を表現としてきたケンナ。ときに現実離れした異次元空間をも思わせ、その静謐で叙情的なモノクロームの作品は世界中で評価されてきた。
そんなケンナの、日本では初となる回顧展「マイケル・ケンナ A 45 YEAR ODYSSEY 1973-2018」が東京都写真美術館にて開催される。
本展では、代表作100点に加え、ヨーロッパ各地のナチス強制収容所を約12年間にわたって記録し、フランス政府に寄贈され芸術文化シュヴァリエ賞受賞にいたった「Impossible to Forget(50年後のナチス強制収容所)」シリーズから25点を展示。
ほかにも、10年間にわたり日本の古い家屋で撮りためた新シリーズ「RAFU: Japanese Nude Studies 2008-2018(ヌードの習作)」が日本初公開となる。これは被写体に人物を選ぶという、ケンナにとっては新しい試みだ。
展示される作品約165点はすべて、ケンナ自身が暗室でプリントしたオリジナルプリント。また、ケンナは本展にあわせて来日し講演会とサイン会を開催する予定となっている。その美学にふれる貴重な機会となるだろう。