彫刻やインスタレーションを中心に、絵画、写真、映像、舞台美術など幅広い領域で制作をしている金氏徹平。現代の高度消費社会で大量に生産されるフィギュアやおもちゃ、日用品などを収集し、それらのパーツを分解し、その物質が本来持つ用途や意味を一度消失させ、再構成させるコラージュ的手法で、作品をつくり上げている。
2009年に横浜美術館で史上最年少個展作家となる「溶け出す都市、空白の森」を、16年には丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて個展「金氏徹平のメルカトル・メンブレン」を開催し、近年では舞台美術の制作にも積極的に関わっている金氏。自身の映像作品を舞台化した連作「TOWER」は、18年六本木アートナイトのメインプログラムとして、六本木ヒルズアリーナにて展開された。
金氏は豪雪地帯である新潟県越後妻有地域の、都市では見ることのない光景や道具が冬のあいだにたくさん現れる状況に関心を寄せ、今年の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」では「越後妻有地域の雪」をテーマとした作品を発表。夏のあいだは眠るだけの除雪車の格納倉庫を会場に、除雪車、除雪道具を用いた彫刻作品を中心にし、雪が降る2月に取材・撮影をした写真、映像、音を組み合わせた作品空間を生み出す予定だ。
本展は、同芸術祭との連携展覧会として開催される。家庭用ミニ除雪機、信濃川の石を素材にした彫刻作品ほか、非日常的な雪の風景にマンガなどのイメージをコラージュした写真作品、映像作品などの新作を発表する。真夏に現れる、豪雪地帯の風景に注目したい。