100年以上経ったいまもなお人々を魅了する、壁面に優雅に広がる草花たち。これらは19世紀イギリスを代表するデザイナー、ウィリアム・モリスによって生み出されたものだ。
デザイナーであると同時に詩人、思想家、工芸家であったモリスは、産業革命により大量生産品があふれた当時のイギリスにおいて、丁寧な手仕事から生まれる美を愛し、自然との共生を目指した。
そして19世紀以前のリアリズムに基づく奥行きのある世界観を離れ、平面的でありながらも生き生きとした鳥や草花を表現。自然と装飾の新しい関係を生み出していった。
本展では、モリスのデザインを中心に、当時のヨーロッパにおけるジャポニズムの影響の大きさをみることができる壁紙を含め、イギリス有数の壁紙会社・サンダーソン社が所蔵する貴重な壁紙や版木など約130点を日本で初めて紹介。19世紀に隆盛期を迎えた英国壁紙デザインの変遷をたどることを試みる。
また会場内には、モリスデザインの壁紙を用いて居間を想定した「クラシックモリス」、現代のライフスタイルに合わせたモノトーンの「ピュアモリス」といったコーナーも登場。モリスによる繊細なデザインの壁紙に囲まれた「美しい生活」を体感できる。