アピチャッポン・ウィーラセタクンは、1970年タイ生まれの映画監督であり美術家。現在もタイを拠点に制作を行っている。
映画監督として、自身初の長編『真昼の不思議な物体』(2000)で大きく注目を集め、その後の『ブンミおじさんの森』(2010)は、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールに輝き、高い評価を得た。
いっぽう、美術作家としても世界的に活動しているアピチャッポンは、2016年に恵比寿の東京都写真美術館で個展「亡霊たち」を開催。17年には、TPAM(国際舞台芸術ミーティング)で、シアターピース『フィーバー・ルーム』を上演し、高い評価を得た。
現在アピチャッポンは、次回作となる長編『MEMORIA』を制作中。南米・コロンビアで撮影されるという次回作は、これまで自身の故郷であるタイ東北部の伝説、民話、個人の記憶、土地の記憶を素材にしてきたアピチャッポンの新境地として、期待されている。
今回、東京・渋谷のシアターイメージフォーラムで開催される「アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ 2018」は、次回作の公開を前に、アピチャッポンのタイ時代の過去作を期間限定で再上映するもの。上映作品は『世紀の光』(2006)、『ブンミおじさんの森』(2010)、『光りの墓』(2015)の3作品のほか、特別企画として、短編作品『国歌』(2006)も見ることができる。
タイの映画館では、本編上映前に国歌が流れ、観客が起立する慣習があり、『国歌』は、それをテーマにアピチャッポンが独自にアレンジした作品だ。本企画では、同じくして映画館のシーンが印象的な『光りの墓』の前に『国歌』が上映される。
また、アピチャッポンから日本のファンに向けたメッセージムービーも、イメージフォーラムでのみ公開される。新作公開を前に、アピチャッポンのフィルムワークを堪能したい。