2017.8.3

音で感じるアピチャッポン・ウィーラセタクンの世界。使用楽曲を集めたアルバム発売

タイ出身の映像作家アピチャッポン・ウィーラセタクンの作品に使用された楽曲を集めたアルバムが発売される。

映画『光りの墓』より © Kick The Machine Films / Illuminations Films (Past Lives) / Anna Sanders Films / Geißendörfer Film-und Fernsehproduktion /Match Factory Productions / Astro Shaw (2015)
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 タイ出身のアピチャッポン・ウィーラセタクンは、東南アジアを代表する映画監督・アーティストとして世界各地で活動している。最近では、今年4月の「坂本龍一|設置音楽展」(ワタリウム美術館、東京)にコラボレーターとして参加。現在開催中の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」(森美術館、東京)ではチャイ・シリとの共作の展示で話題を集めている。

 今回発売されるアルバムには、「カンヌ国際映画祭」最高賞(パルムドール)を受賞した『ブンミおじさんの森』(2010)や『光りの墓』(2015)などの長編映画をはじめ、初の舞台作品『フィーバー・ルーム』(2015)ほか、アピチャッポンの作品に使用された楽曲、サウンド全14曲を収録。タイをはじめとする各地で採集した自然の音や生活音が組み込まれた楽曲も多く、音源だけでもアピチャッポンの作品の世界を楽しめる内容となっている。

 このアルバムについて、坂本龍一は「ここには音/音楽の全てがある。神秘、過去、夢、揺れる葉、鳥、昆虫、夜明け、雑踏、朝食の準備の湯気、河の流れ、割れるグラス、バイクなどなどが。つまりとても美しい一つの映画が。」とコメントを寄せた。

 アルバムは評論家の佐々木敦が主宰する音楽レーベル「HEADZ」からリリース。コンパイルは、長らくアピチャッポン作品の音楽に携わってきたリット(アックリットチャルーム・カンラヤーナミット)と、『フィーバー・ルーム』の音響を担当している清水宏一が担当している。一般発売は8月23日だが、現在開催中のアピチャッポンの個展「Memoria」の最終日8月4日に、会場のSCAI THE BATHHOUSEにて先行発売される。

アルバム『Metaphors』CDジャケット