スクリプカリウ落合安奈が
個展で新作を発表。
可視化された「呼吸」が
紡ぐ物語空間とは?

美術家・スクリプカリウ落合安奈の個展が、東京・外神田のBambinart Galleryで開催される。落合は、現在東京藝術大学大学院グローバルアートプラクティス専攻に在学中。本展では、2016年の学部卒業時に首席・買上となった「明滅する輪郭」シリーズの新作を発表する。会期は8月25日〜9月9日。

スクリプカリウ落合安奈 明滅する輪郭 2018 ©Ana Scripcariu-Ochiai Courtesy of Bambinart Gallery

 スクリプカリウ落合安奈は1992年埼玉県生まれの美術家。2016年に東京藝術大学美術学部絵画学科油画専攻を首席で卒業。学部在学中には石橋財団の国際交流に参加し、トルコ、ドイツ、ポーランド、イギリスにてリサーチを行った。なお現在は、同大学の大学院美術研究科修士課程グローバルアートプラクティス専攻に在籍している。

 今回、東京・外神田のBambinart Galleryで開催される個展では、16年の学部卒業時に首席・買上となった「明滅する輪郭」シリーズの新作が発表される。

 新作では、日本とルーマニア、2つのルーツを持つ落合が、その祖国において名も知らぬ人々を撮影。その写真にビニール袋を縫い付けることによって、「呼吸」を可視化したものだ。

スクリプカリウ落合安奈 明滅する輪郭 2018
©Ana Scripcariu-Ochiai Courtesy of Bambinart Gallery

 落合は、新作について以下のコメントを発表している。

 「縫い付けられたビニール袋によって可視化された『呼吸』は、自己と他者を行き交う成分を表す。遠くに生きる顔も知らない人、既に亡くなった人物、憎い人、愛しい相手、その一部だった成分が、いまの一呼吸によってあなたの一部になる可能性は0%ではない。三輪車で遊ぶ少年、花嫁、母子、父親、生きる時代も土地も民族も異なる人々に垣間見える、ある種の共通するものが浮かび上がる。時が経ち、ビニールが朽ちると写真には縫い跡の点線が残る」。

 可視化された「呼吸」が紡ぐ物語空間は、見る者の感覚を研ぎ澄ませ、深い洞察へ誘うだろう。

編集部

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