展覧会タイトルにも組み込まれている「メルド彫刻」とは、DIY的な素材や方法で制作された作品を指す。ダダイスムの運動に参加し、「メルツ」という独特のコラージュ作品をつくったドイツのアーティスト、クルト・シュビッタース(1887〜1948)が、インスタレーションの先駆けともいえる「メルツバウ」を確立したことに倣って、2000年代に白川昌生によって提唱された。
白川がキュレーションを務める「メルド彫刻の先の先」は、白川のほかに豊嶋康子、冨井大裕、橋本聡、麻生晋佑が参加。「メルド彫刻」のまたさらにその先を感じるような、独自の素材と作風で活動をする5作家が集う。ユニークかつ軽妙な作品群で構成される空間は、アートの文脈に新たな風を吹かすかもしれない。