NEWS / HEADLINE - 2018.2.26

出品取り消しの白川昌生《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》、
4月に群馬県で初展示へ

群馬県立近代美術館で開催された企画展「群馬の美術2017」において、会期直前になって出品が取り消された白川昌生の作品《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》が4月より、群馬県渋川市のギャラリー「CONCEPT SPACE」で展示されることがわかった。

白川昌生 群馬県朝鮮人強制連行追悼碑 2015 写真提供=白川昌生

 白川昌生が2015年に制作した作品《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》は、群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑をモチーフにしたもの。2017年に開催された群馬県立近代美術館の「群馬の美術2017─地域社会における現代美術の居場所」において展示される予定だったが、開幕直前になって美術館側がこれを取り消した。

 出品取り消しの理由について、同館は「係争中の事件に関連した作品のため展示を見送った」と説明。朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑をめぐっては、これまで碑の前で開かれてきた追悼式が、建立許可時に群馬県が設けた「政治的行事を行わない」という条件に反したとして、県が設置期間更新を拒否。管理する市民団体が不許可処分の取り消しを求め、今年2月には前橋地裁が県の処分を違法として取り消した経緯がある。

 白川本人は出品取り消しに対し、当時「いまの日本では美術館は行政よりも下にいる状態で忖度が先に立つ」とSNSで遺憾の意を表明。美術評論家連盟も、出品取り消しが「個人による作品の発表や表現の自由、市民による鑑賞の機会とその権利を奪い、加えて憲法21条2項に明記された検閲と事前抑制の禁止に抵触する」とし、「同館の対応は、作家の権利と公共の利益を省みない不当な判断であると考えます」との意見を出して注目を集めた。

 今回、《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》が展示されるのは、渋川市のギャラリー「CONCEPT SPACE」。同ギャラリーは1982年に長屋式アパートを利用してスタートしたスペースで、「住まうこと」「制作すること」「企画すること」「展示すること」の4つをキーワードに活動している。同ギャラリーではこれまで過去数度にわたり白川の個展を開催してきた経緯があり、その縁から、出品取り消し騒動の直後に、今回の展示の開催が決定したという。

 白川は本展開催に対し、「群馬では初めての展示になり、よかったと思っています」と語る。「公共の作品、公共の記憶はそのときの社会と無縁では済まされないことがある。その関係を作品で示そうとしています。鳥取、長崎、群馬での戦争碑は、日本彫刻史とも絡んでいく問題を持ってもいます。群馬の美術館での撤去は、公共の美術館のあり方が問われることだったと思います」。

 会期は昨年の出品取り消しからちょうど1年後にあたる4月21日よりスタート。今回の個展では《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》とともに、同市内「CONCEPT SPACE R2」と「AIS gallery」では鳥取県や長崎県にある戦争関連の慰霊碑類をモチーフにした作品2点も展示されるという。