2018.4.1

師・猪熊弦一郎ゆかりの地で初の個展。荒井茂雄の70年以上に及ぶ画業を一堂に紹介

画家・荒井茂雄の個展が丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催される。初期作品から、現在も制作を続ける最新シリーズまで、70年以上に及ぶ画業を展示。師・猪熊弦一郎との交流を示す関連資料も紹介する。会期は2018年4月14日〜7月1日。

荒井茂雄 宇宙のリズムB 2011 丸山晩霞記念館蔵
前へ
次へ

 荒井茂雄は1920年長野県生まれ。同県上田市で友禅と日本画を学び、46年には猪熊弦一郎に師事、以降洋画や日本画といった区分や特定のスタイルにとらわれることなく新たな表現を探求し、98歳を間近に控えた現在も精力的に活動を続けている。

荒井茂雄 楽園 1974 丸山晩霞記念館蔵

 猪熊とは、弟子ではなく「パートナー」と呼ばれるほどの信頼関係を築き、猪熊ゆかりの地である丸亀市や同館にも長く関わり続けてきた。本展は、荒井が「第二の故郷」とも語るその丸亀市での初の個展。初期作品から、各時期の代表作品、そして未発表作品を含む最新のシリーズまで、その画業を一堂に紹介する。

荒井茂雄 ブルーの仲間 1990 丸山晩霞記念館蔵

 70年以上に及ぶ画業は様々な展開を見せ、初期には花や鳥などをモチーフとした油彩画、80年代半ばには色彩豊かで実験的な抽象表現や、身近な日用品を組み合わせた立体作品を手がけるようになり、さらに近年では、自身の作品や浮世絵のイメージを組み合わせたコラージュを手がけるなど、多彩な表現の探求を続けている。

荒井茂雄 よろこび1 2009 丸山晩霞記念館蔵
荒井茂雄 江戸物語り 2016 丸山晩霞記念館蔵

 そのいっぽうで、色彩感覚や、素材やモチーフの意外な選択、日常への新鮮な眼差しなど、制作へ向ける精神は、猪熊の教えを受け継ぎ一貫している。本展では、荒井の表現の軌跡をたどるとともに、猪熊との交流を示す写真や書簡といった貴重な資料もあわせて展示する。

荒井茂雄 二ツの風景(鳥) 1985 丸山晩霞記念館蔵