近代日本の名画を参照した自画像などを通して、近代美術の展開と自身の関係を探求。そうしたアーティスト活動を並行し、私塾「パープルーム予備校」が拠点のアーティスト・コミュニティ「パープルーム」を主宰する梅津庸一が、展覧会のキュレーションを行う。
「共同体」がテーマの本展で10〜70代の幅広い年代のアーティストが見せるのは、濃密なやりとりと断絶。友人同士や同じ主義主張を持つ者たちによって組織されるグループ展とは一線を画し、それぞれの出展者たちの文脈・性質が絡み合い、ときに断絶することで融和や不和を露わにする。そして同時に、鑑賞者の目を通して、その場にいない他者の存在が紐づけられることが期待されるという。
参加作家は、画家・フランスの美術史の専門家の松浦寿夫、1960年代後半より鳥取で前衛美術家集団「スペースプラン」に参加、現在も同地で精力的に画家として活動するフナイタケヒコ、パープルーム予備校1期生であり、パープルームの日常を描いたアニメーションを出品する安藤裕美。
そして、京都を拠点に、ネットを通じて多くの人が共有するキャラクター絵画などの文法を踏襲しているユ、六萠、大谷石、粉末パテ、木材で人型の彫刻をつくる大野陽生、シェアハウス「渋家」の派生ユニット「渋家分離派」が加わる。梅津は、高尾山で行ったパフォーマンスの映像作品と、ゴーギャンの《マナオ・トゥパパウ(死霊が見ている)》を下敷きに、パープルーム予備校生・安藤裕美を描いた作品などを展示する。