2018.3.17

未来を拓くアーティスト集団に注目。『美術手帖』4・5月合併号の特集は「アート・コレクティブ」

『美術手帖』最新号(4・5月合併号)では「アート・コレクティブ」を特集。独自のアートの価値や仕組みづくりを目指す運動体=「コレクティブ」の活動を取り上げ、アーティストや作品の新しい役割を明らかにする。

『美術手帖』2018年4・5月合併号より
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 『美術手帖』最新号(4・5月合併号)では、チームで活動する若いアーティストたちの動きに注目した「アート・コレクティブ」を特集する。

 日本の現代美術の歴史を振り返れば、美術団体に始まり、60年代のハイレッド・センターやTHE PLAYなどの前衛集団、80年代のダムタイプや90年代のコマンドNなど、つねにアーティストたちはチームをつくって、新たな価値や歴史を動かしてきた。

 そして2000年代以降、インターネットやSNSなどの情報環境を利用し、新たな表現方法を模索する運動体としての「コレクティブ」が登場している。

『美術手帖』2018年4・5月合併号より

 特集では、そうした動向のケーススタディとして、パープルーム、Chim↑Pom、ライゾマティクス、チームラボなどの実践や戦略をレポート。また、Ongoing Collective、Super Open Studio NETWORK、THE EUGENE Studio、コ本やhonkbooks、芸宿、アーギュメンツなど、新しいアートのプラットフォームのかたちとして、彼らの仕組みづくりや表現方法を紹介する。そして日本以外にも、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムなど、コレクティブの活動が盛んなアジア各地の事例をその文化的背景とともにレポートしている。

 さらに、DOMMUNEの宇川直宏、カオス*ラウンジの黒瀬陽平、SIDE COREとの鼎談では、ストリートアートやサブカルチャーの文脈からコレクティブの役割や意義を検証。

『美術手帖』2018年4・5月合併号より

 ほかにも、戦後日本のコレクティブ史を総覧した相関図や、日本の芸術集団のDIY精神を論じた富井玲子による論考を通じて、その源流と変遷を丁寧に分析するなど、歴史的、同時代的視点から「コレクティブ」の実態を明らかにしている。

 この特集から、いまのアートシーンで起きている変化の波を感じ取ることができるとともに、未来のアートを拓くためのヒントを見つけることができるだろう。

『美術手帖』2018年4・5月合併号より