金箔のフィルターを通した、青と金の幻想的な写真。田中和人が個展で新作を発表

写真による抽象表現を探求する田中和人の個展がMaki Fine Artsで開催される。2009年より取り組む金箔をレンズフィルターに用いたシリーズを、新作とともに発表する。会期は2018年3月30日〜4月28日。

田中和人 GOLD SEES BLUE 2010 chromogenic print Courtesy of the artist and Maki Fine Arts

 京都と埼玉を拠点に、写真と絵画の関係性について探求し、写真の新たな抽象表現を試みながら、制作、発表を続けてきた田中和人が新作を発表する。

 本展では、金箔の透過光を利用した作品シリーズ「GOLD SEES BLUE」を展示。本シリーズは青い光のみを透過する金箔の性質に着目し、カメラのレンズフィルターに金箔を使用するというもの。金箔の透過光が作り出す青い色調と、時に部分的に現れる金色の反射光が混ざりあう、幻想的なイメージを作り出している。

 田中は2009年より本シリーズに取り組み、当時は森の中の風景をモチーフに集中的に制作を続けた。本展では同シリーズの新作として、友人や家族を被写体としたポートレートを制作。「ポートレート」というドキュメンタリー性の強い主題を、光に制限をかけるこの手法によって、より抽象的で絵画的な表現とすることを試みた。

 会場では同シリーズの初期作である風景写真と、新作のポートレートを並べて紹介。田中が問い続ける、写真のドキュメンタリー性への揺さぶりと、絵画への憧れについての思索を、あらためて提示する。

編集部

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