フランスを代表するポスター作家、レイモン・サヴィニャック(1907〜2002)。シンプルでユーモアとエスプリにあふれたサヴィニャックのポスターは、それまでのフランスにおけるポスターの伝統であった装飾的な様式を一新。デビューは40歳を過ぎてからという遅咲きながら、シトロエン、ダンロップ、ミシュラン、ティファール、パリ市ほか、フランスの錚々たる広告主のビジュアル広告を手がけ、その作品は現在も世界中で愛されている。
これまでにない大規模なサヴィニャック展となる本展では、代表作のみならず、4メートルにもおよぶ大型ポスターや日本企業から発注されたポスター、制作過程が垣間見えるスケッチや原画など、あわせて約200点を展示する。
また、「景観の中でのポスター」にも注目し、実際にポスターが貼られていた20世紀のフランスの街をとらえた写真も展示。サヴィニャックのポスターが、どのように道行く人々の心を踊らせ、時に批判され、そしてその広告としての効果を発揮していたのかに思いを馳せながら、サヴィニャックの世界を堪能することができる。